出羽三山の旅(2)2021年09月30日 17:06


 月山


2日目の目的は月山登山です。前日チェックインしていた鶴岡駅前のAPAホテルを午前5時半に出発、すぐ近くのバスターミナルに移動します。ここから出る午前6時ちょうど発の「月山八合目」行の庄内交通の定期バスに乗るためです。事前に調べてはいますが、こういうことが個人旅の未知数なところで、このバスに無事に乗れるまではなんだか心配です。というのは、午前中の月山八号目行のバスはこれ1本で、しかもこの日が今季の最終運行日になるからです。ところが、やってきたバスは「羽黒山頂行」の標識になっていてあわてましたが、分かったことは羽黒山頂までが通常運行で、そこからの「月山行」は夏季のみの特別便(形式的には別運行)だということでした。ちなみに前の日のバスとJRもそうでしたが、このバスもSUICAなどのカードは使えず現金払い。山形はまだ昭和のようです。


最終運行日のせいなのかバスは満員で、途中からは立っている人もいました。鶴岡市内を抜け羽黒山頂まで約1時間かかり、ひと休みのあと、また1時間、くねくねと狭く曲がりくねった月山道路を、途中何台かの車と譲り合いながら、登ります。月山は俗に「木原三里、草原三里、石原三里」というそうで、麓の豊かな森林、中腹の広々とした草原、山頂近くの岩稜地帯と植生がはっきり分かれています。バスで登る中腹の「木原」はブナやシラカバなどの深く色濃いすばらしい自然林に覆われ、豊かな自然が残る山であることがわかります。


午前8時過ぎ、月山八号目の駐車場に到着しました。広い駐車場ですが登山客の車がかなり停車しています。大型バスもあり、団体客もいる模様。天候の良い日曜日、実質的なシーズン最終日ですが、この登山者数が普通なのかはよくわかりません。山形県内や東北各県のナンバーが多いようですが、なかには関西、首都圏からの車もあります。


山頂までの歩行は約3時間と聞いていましたので8時半にさっそく出発します。午後2時ころまでには戻る計画です。8合目の標高は1400メートル程ですが。冬の降雪量が多いためなのかすでに森林限界で、大小の池塘が点在する湿地帯になっています。夏には高山植物が咲き誇り。多くの信仰の山と同様に極楽の地をあらわす「弥陀ヶ原」の名がつけられています。弥陀ヶ原に設けられた木道を20分ほどで過ぎると岩石帯があらわれ、最初の登りが無量坂さらに一の岳、二の岳とまろやかにそびえる小山を超えてゆっくり歩いていきます。やはり登山者は多く、抜いたり抜かれたりのおなじみの光景が繰り広げられます。



9合目付近にはまた湿地帯がひろがり、亡くなった霊を祭る祭祀施設の残る仏生小屋の前には仏生池があります。小屋では、この日は意外に暑かったのでアイスクリームを売っていました。小屋には宗教的な意味合いはほとんどなく、観光施設の趣しか感じられません。ここから頂上への途中に、熊野から来た役行者(えんのぎょうじゃ)が恐れをなしたという“伝説”の「行者返し」の岩場がありますが、実際にはたいしたことはありません。これは熊野山に対抗した出羽山の修験行者の自負心の現れという説が妥当のようです(岩鼻通明著『出羽三山』(岩波新書)より)。


頂上には月山神社の奥宮があるのですが、すでに季節が終わったせいか、神社に至る石段は通行禁止になっていました。そのためほとんどの登山者はすぐ隣にある三角点の「月山表示板」の前で記念撮影をしていますが、驚くほどの人出です=写真上=。本来の三山参りであればここからさらに頂上を越えて反対側の斜面を下り湯殿山に至るわけですが、今回はここで引き返すことにしました。

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