博物館に「能舞台」2025年08月22日 19:08


上の2枚の写真は2009年(平成21年)3月に埼玉県立歴史と民俗の博物館の講堂で開かれた能舞台です。上が「翁」の舞い、下が「石橋」の囃子方。演者はシテ方観世流の梅若泰志氏ら3名。囃子方では笛方一噌流、小太鼓幸清流、太鼓方大倉流、太鼓方金春流の各派の演奏者に登場いただきました。演者・奏者は一流ですし、一見、立派な舞台に見えます。が、よく見ると?な部分も目につきます。これは博物館友の会という素人集団が知恵を出し合ってつくりあげたこの日だけの仮舞台なのです。


前回の記事で書いた「花王・コミニュティミュージアム・プログラム」という文化助成事業の初年度の事業がこの舞台開催を中心とする「能楽ワークショップ」ということで、2010年(平成21)の3月に「能楽」を開催し、そのあと年内には冊子『能・狂言 これがポイント』』を発行しています。わたしはこの中の「能舞台開催」については関係していなかったので詳細は不明なのですが、事前に博物館や県当局との調整があったことは確かで、当時の博物館副館長I氏に努力していただいたと思います。


まずは舞台の設営で、平坦な講堂の床上に、高さ30センチの立方体の箱を20個つくって並べて舞台とすることを決め、役員総出で用意した板材を加工して作り上げました。その舞台の床に白い布をひき、背景の老松の描画も幕も役員(女性)が見事に制作したものです。大事な見つけ柱を建てると、舞台は完成。ただの講堂が能楽堂に変身した瞬間でした。


出演の能楽師や囃子方のメンバーとどう連絡をつけたのかなどの詳細は知りませんが、当時、さいたま芸術劇場での里神楽公演にも協力していましたので古典芸能関係につながりがあう人がいたのかもしれません。


 小冊子も作成


ご覧のような冊子も作成しました。表題は『能楽入門』だと思ってたのですが、残されたファイルを見ると前回書いたように『能・狂言 これがポイント』となっているようです。実物がまだ残っていると思いますので確認してみます。



これも結構大変で、数名の委員がそれぞれ担当範囲を決めて執筆し、休日や平日の夜、大宮駅前の「シーノ大宮」の会議室に集まって意見を出し合いました。裏表紙に雛飾りの五人囃子が入ったひな人形セットを使いたいということで岩槻の老舗人形店である東玉にお願いしてデータを送っていただきました。表紙の印刷もグラデーションを活かしたなかなか凝ったデザインです。

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