神社の起源を学ぶ2017年02月23日 20:05


日本には一説で10万以上ともいわれる神社があります。伊勢神宮のように巨大なものもありますが、山裾の石の前に置かれ施設を持たない無名の小さな鳥居も含めればおそらく数え切れません。そんな日本の神社の起源はどこにあるのか―そんな興味深い内容の講演会をききました。2/19に行われた埼玉県立歴史と民俗の博物館友の会講演会「祭祀遺跡と神社の成立」です。講演者は國學院大學教授の笹生衛先生。

事前に配布された資料にはなかなか読めない漢字がならんでいて、難解な講演かと思いましたが、意外にわかりやすく、神社という言葉が使われ始めた時代やその時の神社の形態、環境などを文献調査で証明し、また、それを現在発掘されている古代の祭祀遺跡と比較しながら確認していくという方法で解説していただきました。

特に私が関心を持ったのは山や岩、島などの自然物も神の「居場所」になるという考え方です。笹生先生の講演では奈良の三輪山と福岡県宗像市の沖ノ島について触れていましたが、美しく神秘的な山が信仰の対象になる事例は日本にはきわめて多く、奈良の三輪山は日本の古代文化発祥の地にあったからこそ今でも山岳信仰の見本になるような確固たる伝統を持っているのだろうと思います。沖ノ島も大和と朝鮮を結ぶ中間点にあるという位置から信仰の対象になったものと思います。また、山から流れ出る清流のあることや島であれば清水が湧き出ることなども信仰には大きな要素ということです。

沖ノ島には宗像神社の沖津宮がありますが、この島は簡単に参詣できない禁忌の島で、いまでも女性は立ち入ることができないそうです。今年の夏には世界文化遺産の登録申請がおこなわれるとのこと。

(上の写真は大宮・氷川神社内の宗像神社。バックに神池と神橋)