日光白根山に登る2024年07月26日 06:23


男体山を中心に競い合うようにそびえたっている山々を「日光連山」などといいますが、その中で一番北にあり、この山塊の中での最高峰であるばかりか、関東以北でももっとも髙い(2578メートル)のが日光白根山です。白根山という山は日本中にあり、有名なのがもうひとつの百名山である草津白根山です。それと区別するために日光という言葉がついているようですが、俗に奥白根山ともいわれるように、男体山にある二荒山神社の奥の院でもあって、古来よりの信仰・修験の対象になっていたようです。


とはいえ、日光登山では(私は)行ったことがありませんし、岩稜に覆われた結構厳しい山だと聞いていたので、遠慮気味だったのですが、群馬県側の丸沼高原からならロープウェイで2000メートルまでいってしまうという話を聞いて、自戒?を忘れての今回の登山となりました。


登山を終え、ようやく登山口の二荒山神社に到着、ロープイェイ前の広場に出たのが午後3時すぎ。そこから山の方向を振り返ると、朝には隠れていた白根山の雄大・険峻な山容が現れました。麓から登る森林の緑と青空を背景に陽をあびて輝くような黒茶色の山頂溶岩群の対比が鮮やかです。正面の巨大な割れ目のように刻まれた崩壊跡も色鮮やかで迫力十分です。日光白根の山頂は雲に覆われることが多いとされていますし、スキー場とロープウェイのない時代にはここまで上がってくるだけで大変だったはずです。奥山に分け入ってこの光景を見た人の感動がわかるようです。



今回もおなじみの地元の山の会で。男女4人、Sリーダー運転の車で移動です。梅雨明け初日の雷雨が夜明けまで続くという不穏な天候でしたがその日の予想は晴れ、日光白根山の登山指数もAでした!。ところが関越道を抜けて目的地の片品村・丸沼高原に近づくにつれて雲行きがあやしくなり、ロープウェイ乗り場に着くころは曇り空で、遠くの山々は灰白色の雲に包まれて、ゴンドラからの尾瀬方面の山々もかすかに見える程度。標高2000メートルの山頂駅(登山口)は人気の観光地らしく「天空テラス」や「天空カフェ」などのきれいなレストランがあり、岩稜の間に赤いコマクサなどが植えられた公園のような景観ですが、そこから眺める白根山の山体も目の前の森林帯から少し上になると白いガスに包まれ、全く見えません。地図でみると、北東方向から斜面を歩き、最後は山頂近くの岩稜を反時計回りに登っていくようなんですが、なにせ途中から雲海の中に入ってしまいますので、視界は数十メートルくらいしかない感じと思われます。


山頂まで霧の中


参道を通って二荒山神社の鳥居をくぐり、お参りしてから登るのは日光登山の原則です。道はあっというまに急峻な登りになりますが、林内を見た限りシラカバからダケカンバなどの亜高山帯森林が続きます。大気汚染のためか?立ち枯れが多く見られるという情報がありましたが、確かにあまり大きな樹木はないようで、倒木もかなり目立ちます。製紙会社が管理しているような標識が立っていました。女性二人が歩きながら登山道の周辺の花を探していましたが目立ったものはないようです、それでも森林限界に近づくあたりでシャクナゲの群生地に遭遇し、初めは花がなかったものの高度を上げるにつれて白い花が増え、花のトンネルという感じで眺めている間に、白い石と黒い岩。その間の緑の高山植物群という山頂帯にでました。


ここから上が白根山の溶岩帯で、数万年前の噴火で噴出口から噴出した溶岩流や溶岩円頂丘(溶岩ドーム)になるわけですが、なにせまだ深いガスの中、雨は降りそうだし、足元は小石がざらざらするガレ場ということで、私は滑らないようにするのが精いっぱいで余裕はありません。山頂はまったく見えませんが、こういう時でもスマホの地図とGPSのおかげでなんとか現在の位置がわかるのはありがたいことです。山頂まではまだ数百メートルあるようです。しかし、遮るものがないので休憩しようにも風が強く困っていると、下山してきた女性が「風が強いのはここだけ、右にまわれば大丈夫です」と教えてくれましたので、その通りに進むと確かに風がやみましたので、ここで昼食休憩にしました。あとからの話ですが、Sリーダーはもし雨でも降ってきたらここで帰ろうと思っていたとのこと。わたしもそう思いました。


たくさんの登山者に出会う


そこからまた五里霧中の岩稜帯登りですが、けっこう登山者は多いようで、ガスの中から次々と人が現れます。11時半、ようやく山頂と思われるあたりに到着。白くかすむ奥社を通過しますが、山頂(標高点)が目視できずうろうろしていると、なんとここで雨粒が落ちてくる最悪のタイミング。しかしそんな中で傘をさして悠々と食事をしているつわものペァに方向を教えられ、逆方向に下り、ほんの数十メートル先の結構急峻な崖をのぼり山頂に到着しました。



写真を撮って下りようとすると、いつのまにか、山頂を目指す次の登山者が行列をつくっているではありませんか。北アルプスの槍ヶ岳みたいな風景です。初心者向けの高山といわれる白根山ですが、短時間ながら最後の断崖での鎖もなしの横歩きはけっこうスリルがあります。ただしこの日はガスのため下がほとんど見えないので現実感がありません。


天候が心配なので急いで下りていきますが、皮肉なことに、この頃から天候がみるみる回復しだして、先ほどの昼食地点まできたあたりで一部青空が見え始め、周囲の素晴らしい展望が見えだします。風のため、また一瞬で消えてしまいますが、まるで別世界にいるようで、登山における天候の善し悪しによる運不運をあらためて感じます。しかし、これも思い出と思えば楽しいものです!。



下山時も多く人に出会いました。軽装で元気に登る外人女性、小学生の姉妹、子供に道を教えながらの父子、ゆっくり懸命に歩む老夫婦―多くの人に慕われていることがわかります。

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