迎賓館を参観しました2024年05月23日 17:36


上の写真はまるでパリのベルサイユ宮殿のようですが、港区赤坂にある「東京迎賓館」の庭の噴水から本館を眺めたものです。なんと、この噴水も背後の宮殿ふうの建物も国宝であると聞いて驚きです。迎賓館といえば、外国からの賓客(国王や首脳など)が訪れた際に会談やおもてなしの場として使われる日本国の施設ですが、実は、東京23区内にあるものとしては唯一の国宝建築でもあります。噴水や正門なども国宝で、明治期の日本における建築美と造園・造形技術の結集を感じることができる場所でもあります。


この地は、江戸時代には紀州徳川家の江戸中屋敷があり、明治に入って皇室に献上され、明治6年(1873)に皇居が火災に遭ったことに伴い、以降16年間にわたって明治天皇の仮皇居が置かれました。そして、その後に皇太子(後の大正天皇)の東宮御所(皇太子のお住まい)が建てられる計画が起こり、明治32年(1899)から約10年をかけて日本初の本格的な西洋風宮殿が建設されました。現在のような国の迎賓施設になったのは太平洋戦争後のことで、昭和49年(1974)には本館の改修と和風別館の新築が行われ、現在の形になっています。


このように、迎賓館としての歴史は比較的新しいわけですが、敷地全体に、明治の末、日露戦争に勝利した日本の高揚気分が感じられるような気がするのはやはりこうした歴史があるからでしょう。


この迎賓館ですが、(国賓施設として使用していない場合には)一般参観もできるということで、例の「まち歩き」に組み込んでみようということで、5月の中旬に下見に出かけました。


参観できる場所は「本館」と「庭園(主庭および前庭)」およぶ「和風別館」という3つの場所です。晩餐会や茶会などの贅を尽くしたおもてなしが行われるのは「和風別館」で、ここは見学はガイドツアー方式となっており、そのため事前予約が必要です。なお参観費用は2000円とやや高額ですが、われわれの訪れた日(平日)もかなりの参観人数でして、なんと都内の有名な見学コースになっているようだと感じました。対応する職員もかなりの数です。


本館は個別に自由に参観することができますので、われわれはまず最初に、錦鯉の泳ぐ池や世界各国から送られた樹木や草花が美しい主庭を通りながら和風別館「游心亭(ゆうしんてい)」へ向かいます。この内部はいくつかの和風洋風の部屋に分かれて、竹が植えられた坪庭や、生け花や日本舞踊が披露されることもある広間のほか、茶室もあり、外国から来たゲストに日本の美を伝えるための設備が揃っています。それぞれの場所で食事やお茶、寛いだ酒宴などが楽しめるように工夫されています。基本的に日本の上流家庭的な雰囲気を出すためか、それぞれの部屋はそれほど広くありません。


いわゆる迎賓館として一般にイメージするのは正門から鳳凰が羽を広げたように横に広がる宮廷建築の本館です。地上2階、地下1階建ての造りで、延床面積は約1万5000㎡という広大な建物。一般参観では、現在も首脳会談やおもてなしの場として使用されている4つの部屋を中心に見学ができます。


まずは西側の参観出入口から館内に入り、中央階段を見上げる場所へ。中央階段を見た後に訪れるのは、2階にある「花鳥の間(かちょうのま)」です。巨大なシャンデリアに驚くことでしょう。意外に天井が低いのでとても大きく見えます。この部屋は「饗宴の間」と呼ばれ、現在は国賓などをお招きした際の公式晩餐会会場などに使われています。フランス発祥のアンリ2世様式で構成された室内には、天井や壁の各所に数々の花鳥画が見られます。館内には浅井忠や今尾景年ら当時の日本を代表する芸術家による絵画や工芸品が多数設られており、設備面でも当時最高の技術が結集されたということです。

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