心霊スポット? 小崎沼2025年03月31日 17:01


何回か前の記事「埼玉の津」と「万葉灯籠」で、埼玉県行田市にある小埼沼のことについて書きました。さきたま古墳群近くにあり、今や消えようとしている「小埼沼神社」の中にある小さな池のことです。この3月末に行ったま「ち歩き」の最後に、有志の数人とともにこの小埼沼神社と小崎沼に行くことができました。


前玉神社からはけっこう歩きます。歩いている場所の遠くに行田タワーがそびえるこの地は、埼玉県名発祥の地「埼玉(さきたま)」です。


関東平野の真ん中─見渡す限り平坦な畑作地帯ですが、現在はけっこう住宅が広がり、車の往来は盛んです。目指す小崎沼神社はそんな風景の中に残された小さな林の中の雑木と竹が生い茂る荒れ果てた祠でした。




石造りの鳥居には枯れ木と枝がかかって半分見えません。ほとんど人が立ち入らないようで、社殿は傾き、無残というしかありません。そういえば付近の道路の標識も「埼玉県指定旧跡 小崎沼」とだけ記されていましたから、神社としては廃止されたものと思われます。「心霊スポット」とされた様子もなんとなくわかります。


それでも、同じ敷地内にある「小崎沼」のほうは手入れがされているようで雑草もそうひどくなく、池も、水はありませんでしたが、底の白い石が見えるほど綺麗な感じです。


そして、万葉歌碑のほうには新しく見える花も添えられていて、この旧跡を守る人がいることが感じられて安心しました。石碑はまるで墓石のように立っていますが、正面に「武蔵小埼沼」の文字、側面にこの碑を建てた目的をあらわした文章、裏面に小埼沼と埼玉の津の万葉歌2首が万葉がなで彫られているはずです。


碑文では武蔵小埼沼はここだと断定しており、そのことを後世に残すことが、この碑を建てた理由だったようです。(行田市・文化財の概要による)。


近くには行田市で一番古いという「盛徳寺」があり、庚申塔など付近の石造物がたくさん収められていました。しかし、目の前を通る2車線の道路が狭く、危険でほとんど歩道を歩くことができません。通る人の姿も少なく、いまや埼玉の地も安心できるのどかな場所ではないようです。