鴨川中流の古墳群 ― 2023年11月26日 18:26
今回、この企画に先立ち、数人で下見歩きをしていますが、その最中で、今まで気づかなかったことがありましたので、簡単に報告します。
桶川駅付近に源流をもち、大宮台地を南進して彩湖近くで荒川に合流する鴨川は、さいたま市近郊の代表的な河川です。一級河川荒川水系で、河川整備法では「上尾市北部の台地部 に源を発し、荒川に合流する、流路延長19.2km、流域面積63.69k㎡に及ぶ河川」です。
最初の発見は、出発地の西浦和駅を出て、鴨川に流入する鴻沼川で「桜橋」橋を渡るところからはじまる「鴨川堤桜橋通り公園」という道路に沿った公園です。ここが文字通りかつて蛇行していた鴨川の旧堤防の跡─というより、荒川整備以前にここを流れていた入間川の旧河道です。鴨川の歴史はもちろんですが、この低地一帯の成立がわかる面白い場所です。
そのあと、これも鴨川の昔の暴れ川の存在を示す「千貫樋水郷公園」を過ぎると、地図の上に多数の古墳が記されているのが目につきます。これは、この付近、さいたま市桜区大久保から同区白鍬にかけて分布する古墳群で「大久保墳群」と呼ばれるものです。一部の古墳は市指定史跡、県選定重要遺跡に指定されています。
いくつかの古墳があることは知っていましたが、これほどの規模で、しかもかなりのものが現存しているのが驚きです。小さな古墳はほとんどの場合、切り崩されて農地になってしまいます。この中で、この日は、塚山古墳と神明寺古墳を見学しましょうということで、いずれも個人所有なので、いきなり自宅に伺い、見学許可をお願いしました。両家とも快く了解され、塚に登るときも一緒に来てくれました。文化財指定をされていますが、特に維持管理費が出るわけでもないようで「結構大変です」といいながらなんとなく嬉しそうな気配もありました。
塚山古墳はかなり大きく、前方後円墳または方墳の可能性もあるとのこと。上に稲荷社があり、立派な石の階段が設けられています。神明寺古墳のお宅はこの土地で19代続くとかで、大久保地域の歴史の長さを体現しています。(写真は塚山古墳)
古墳が築かれた時期は、出土した円筒埴輪や人物・馬形の埴輪などから、6世紀から7世紀前半とみられています。
最近のコメント