甲州街道の猿橋とは ― 2020年12月24日 13:39
神奈川県の重要な水資源である相模川は、富士山麓の石割山からしたたるとされる源流(山中湖からの流れとも)を出発点とし、北に蛇行しながら山梨県と神奈川県を横切って相模湾に流入していきます。その上流部は桂川と呼ばれ、秩父山地と丹沢山地の間を縫って深く高い河岸段丘を刻みながら狭い谷間が形成されています。その谷間を古くから通っていたのが江戸から甲府に向かう甲州街道で、現在ではJR中央線と中央高速道路がほぼ同じルートでここを通っています。私は高尾山領の城山峠に出るとここが相模川と多摩川の分水嶺であることをいtうも実感しています。
この桂川(相模川)流岸には1000メートル前後の山が連なっていて、冬季の登山者の格好の目標になっています。12月最後の登山はこのなかの百蔵山になりました。2週間ほど前には、桂川を挟んでほぼ反対側の高畑山・倉岳山を歩きましたが、そこからよく見えた山です。下車駅は高畑山の時の鳥沢駅から一つ先の猿橋駅。名前の通り、名勝・猿橋の懸けられている場所で、当然、帰りにはそこに寄ることになりました。参加は9名で、ちょうどよい人数でしょうか。登山自体はバスで福泉寺まで行ってから2時間程で頂上に到着します。ややきつい登りがありますが気持ちの良い運動という感じですかね。頂上には「百蔵大明神遺跡」という石碑があります。ここもやはり地元では信仰の山なんです。1時間半くらいで下山、市営グラウンドにつき、あとは舗装道路を歩いて名勝・猿橋に向かいました。
猿橋は、桂川にかかる不思議な橋です。この場所で急流は険しい渓谷を作っていますが、旧甲州街道はここで川を越えざるをえません。そこで、野生の猿がツタを伝って立向こう岸に渡っているのを見て造られたという伝説が残るこの橋が架けられたというわけです。ご覧のように両側の崖に「肘木」とよばれる板を岩に挟み込み、徐々にその長さを伸ばして最後に中央部に板の橋を載せて作られています。この橋については歌川広重の『諸国六十余州旅景色』(安政3年=1856年頃)にも甲斐国の名勝として描かれており、かなり古くから有名だったことがわかります(ちなみに武蔵国の名勝は隅田川雪の朝と江戸・浅草の市になっています)。広重の風景画の中には実際に現地に行かずに描かれたものも多いようですが、この猿橋については天保12年(1841年)に旅行をしている記録があるようで、橋を下から見上げ、両岸の紅葉を配したかなりリアルな絵に仕上がっています。
橋のすぐ近くに、岸壁を掘りぬいた煉瓦づくりのトンネルがあり、数メートル幅の水路橋が通っていて、かなりの量の水が音を立てて流れています。それなりの迫力ですが、これは桂川にほぼ平行して東西に延びている水路式発電所施設である八ツ沢発電所に用水を送る水路とかで、建築上の観点から国の重要文化財になっています。
この地にはこれほど苦労して橋を架ける必要性があり、またこれほど豊かな水に恵まれたところだったということがわかります。百蔵山から遠望し、さらに、猿橋駅に下りてゆく断崖の道を歩きながら、眼下に見える谷間の光景に見入りました。
この桂川(相模川)流岸には1000メートル前後の山が連なっていて、冬季の登山者の格好の目標になっています。12月最後の登山はこのなかの百蔵山になりました。2週間ほど前には、桂川を挟んでほぼ反対側の高畑山・倉岳山を歩きましたが、そこからよく見えた山です。下車駅は高畑山の時の鳥沢駅から一つ先の猿橋駅。名前の通り、名勝・猿橋の懸けられている場所で、当然、帰りにはそこに寄ることになりました。参加は9名で、ちょうどよい人数でしょうか。登山自体はバスで福泉寺まで行ってから2時間程で頂上に到着します。ややきつい登りがありますが気持ちの良い運動という感じですかね。頂上には「百蔵大明神遺跡」という石碑があります。ここもやはり地元では信仰の山なんです。1時間半くらいで下山、市営グラウンドにつき、あとは舗装道路を歩いて名勝・猿橋に向かいました。
猿橋は、桂川にかかる不思議な橋です。この場所で急流は険しい渓谷を作っていますが、旧甲州街道はここで川を越えざるをえません。そこで、野生の猿がツタを伝って立向こう岸に渡っているのを見て造られたという伝説が残るこの橋が架けられたというわけです。ご覧のように両側の崖に「肘木」とよばれる板を岩に挟み込み、徐々にその長さを伸ばして最後に中央部に板の橋を載せて作られています。この橋については歌川広重の『諸国六十余州旅景色』(安政3年=1856年頃)にも甲斐国の名勝として描かれており、かなり古くから有名だったことがわかります(ちなみに武蔵国の名勝は隅田川雪の朝と江戸・浅草の市になっています)。広重の風景画の中には実際に現地に行かずに描かれたものも多いようですが、この猿橋については天保12年(1841年)に旅行をしている記録があるようで、橋を下から見上げ、両岸の紅葉を配したかなりリアルな絵に仕上がっています。
橋のすぐ近くに、岸壁を掘りぬいた煉瓦づくりのトンネルがあり、数メートル幅の水路橋が通っていて、かなりの量の水が音を立てて流れています。それなりの迫力ですが、これは桂川にほぼ平行して東西に延びている水路式発電所施設である八ツ沢発電所に用水を送る水路とかで、建築上の観点から国の重要文化財になっています。
この地にはこれほど苦労して橋を架ける必要性があり、またこれほど豊かな水に恵まれたところだったということがわかります。百蔵山から遠望し、さらに、猿橋駅に下りてゆく断崖の道を歩きながら、眼下に見える谷間の光景に見入りました。

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