4つの富士塚を1日でまわる2020年01月15日 10:06

博物館友の会の「まち歩き研究会」で4つの富士塚を電車を乗り継いで1日で訪問しようという企画を行いました。江戸八富士といわれた富士塚のなかで、これまで廻っていなかった富士塚です。

参加者は22名。まずは江古田富士。西武池袋線で江古田駅に移動します。駅前からすぐ、浅間神社内にある富士塚の叢林が目に入ります。富士塚は高さ約8m、直径約30m。江戸時代後期に下練馬村・中新井村・中村の各講により構成される「小竹丸祓講」によって天保10年(1839年)に築かれたものと考えられます。関東大震災によって損壊しましたが、その後、復旧工事が行なわれ、国指定の重要有形民俗文化財に指定されています。今回、練馬区文化・生涯学習課および氷川神社の協力で富士塚内の見学・登拝が可能になりました。全員で富士塚内に入り、全体を観察、大変立派な造営で管理がよく行われていることもわかります。頂上にある奥宮にもお参り、当時はこの宮社の正面に富士山が見えたのでしょう。(写真上)

次いでJR総武線千駄ヶ谷駅へ。ここには都指定重要有形民俗文化財である千駄ヶ谷富士があります。塚のある鳩森八幡神社は駅より徒歩5分くらいの近さです。池を前景にした庭園の様に見える富士塚で、寛政元年(1789)の築造と言われます。高さ約6m。頂上に至る登山道は自然岩を用いた階段となっており、山腹にはクマザサも植えられています。麓に里宮(浅間社)、身祿様、烏帽子岩が置かれ、山頂には奥宮があります。ここでも記念撮影後、全員で参拝登山をしました。

境内を出て、坂を下ると今年のオリンピックのメイン会場となる新国立競技場が巨大な姿を見せています。1週すると大変なので、全体の4分の1ほどを見上げるようにして通り過ぎながらの見学です。複数のテラスの上に植栽がされ、垂木部分に木材を使った独特のデザインです。私はかなり良いデザインと思いますが、参加者はそれぞれの感想があったようです。

3番目はJR鶯谷駅へ。ここから10分ほどにあるのが小野照崎神社の富士塚、通称下谷坂本富士です。残念ながら安全のため富士塚内に入ることはできませんでしたが、1828年(文政11年)建造で、高さ6mの堂々たる風格。苔むした溶岩に歴史を感じます。ここも建設時の形態をとどめるとして、国の重要有形民俗文化財に指定されています。

境内には古い庚申塔もあります。『江戸名所図会』にはこの富士塚ではなく境内の入谷庚申堂のことが出ています。日本三庚申となっていますが、日本三庚申とは京都の金剛寺(八坂庚申堂)、大阪の四天王寺庚申堂、東京の入谷庚申堂だと言われているようです。

最後は、JR東十条駅に移動し、線路を渡り、地蔵坂を登った古道の脇にある東京富士塚通称十条富士です。ここは塚自体が富士神社になっています。かなり大きく伊藤元講などの建てた石造物が、30数基あります。遅くとも、天保11年(1840)10月には冨士塚として利用されていたと推定されています。他の富士塚に比べ、保存状態はあまりよくないようですが、ここで行われる7月の山開きの行事は大変盛大な地域の年中行事になっているそうで地元で愛されている富士塚であることは確かなようです。

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