巡礼の旅・歌枕の旅 ― 2020年06月23日 12:41
またテレビの話ですが、NHK(BS)テレビで<聖なる巡礼路を行く~カミーノ・デ・サンティアゴ>という番組を3回にわたって放送していました。わたしはほんの一部しか見ていないのですが、ヨーロッパにもこんな巡礼路があって、たくさんのひとが歩いているのかと認識を新たにした人も多かったのではないでしょうか。「サンティアゴ巡礼道」とは、キリスト教の聖人の墓所跡に建つスペインのサンティアゴ聖堂までの街道のことで、参加者(巡礼者)はフランス南部からスペインとの国境のピレネー山脈を越えて700キロ以上に渡って続くこの道をひたすら歩き続けます。この巡礼の習慣は長く途絶えていて21世紀に入って復活したとのことですから、西洋の精神世界の変化も感じます。(上の写真はNHKホームページから)
巡礼と聞いて日本人ならすぐ思いつくのが四国八十八ヶ所の巡礼旅でしょう。他には東国・西国三十三ヶ所観音霊場参り、関東地方なら秩父三十四ヶ所札巡りも有名です。スペインのサンティアゴでも日本の札所の寺院でも、そこにあるのは宗教施設です。したがって巡礼の本当の意味は、そこに祀られている聖人や本尊への信仰心を示して自らのあるいは亡くなった親しい人達の来世での幸せを祈ることです。何か個人的な願いが叶うようにという祈りやそれが成就したことの御礼もありそうですが、最近はもっと広い社会参加活動みたいな意味も強くなってきて、健康のためとか自分の生活習慣を変えたい、さらには決まった動機はなくても何か新しい体験をしてみたいというひとも多いようです。私も最後のくちで、黙々と歩き続けるという体験に憧れるところがあり、機会があればやってみたいと考えています。少なくとも10日間以上、連絡をしなくていいように仕事や活動をきちんと整理すればいいのでなんとかできそうな環境は整ってきています(年齢のおかげです!)。
ひたすら歩き続けるということでは、このほかに、歴史的な景観や史跡を巡っていく「街道歩き」もあります。これはほんの部分的ですがやったことがあります。しかし、これも東海道や中山道などを昔の旅人のように泊まりながら歩くとなると長期間の自由な時間がないとできません。
さらに日本には「歌枕を訪ねて歩く」という風雅な旅もあります。一番有名なのは俳人・松尾芭蕉の紀行文〚奥の細道〛を“ガイドブック”として、その足跡を廻るという旅でしょう。〚奥の細道〛は400年近く前の17世紀初め元禄年間の記録なのですが、実は、芭蕉自身はこの中で300年前の西行の歩いた道を歩き、その歌枕を訪ねているのですから、洒落ではありませんが、実に奥が深いのです。
〚奥の細道〛の中で芭蕉はいくつかの山に登っていますが、山形で羽黒山、月山、湯殿山のいわゆる出羽三山をめぐっているのが一番大変だったようです。その少し前には、寺とはいえひとつの山である立石寺(山寺)にも参詣しています。出羽三山のあとは酒田を経て象潟を訪ねています。その間に
閑けさや岩にしみいる蝉の声
五月雨を集めてはやし最上川
雲の峰いくつ崩れて月の山
象潟や雨に西施がねぶの花
などの現在も名高い名句が生まれています。今年の夏、この出羽三山と立石寺を歩いてみたいと思っていますが、このコロナ騒ぎの中で実現するでしょうか。
巡礼と聞いて日本人ならすぐ思いつくのが四国八十八ヶ所の巡礼旅でしょう。他には東国・西国三十三ヶ所観音霊場参り、関東地方なら秩父三十四ヶ所札巡りも有名です。スペインのサンティアゴでも日本の札所の寺院でも、そこにあるのは宗教施設です。したがって巡礼の本当の意味は、そこに祀られている聖人や本尊への信仰心を示して自らのあるいは亡くなった親しい人達の来世での幸せを祈ることです。何か個人的な願いが叶うようにという祈りやそれが成就したことの御礼もありそうですが、最近はもっと広い社会参加活動みたいな意味も強くなってきて、健康のためとか自分の生活習慣を変えたい、さらには決まった動機はなくても何か新しい体験をしてみたいというひとも多いようです。私も最後のくちで、黙々と歩き続けるという体験に憧れるところがあり、機会があればやってみたいと考えています。少なくとも10日間以上、連絡をしなくていいように仕事や活動をきちんと整理すればいいのでなんとかできそうな環境は整ってきています(年齢のおかげです!)。
ひたすら歩き続けるということでは、このほかに、歴史的な景観や史跡を巡っていく「街道歩き」もあります。これはほんの部分的ですがやったことがあります。しかし、これも東海道や中山道などを昔の旅人のように泊まりながら歩くとなると長期間の自由な時間がないとできません。
さらに日本には「歌枕を訪ねて歩く」という風雅な旅もあります。一番有名なのは俳人・松尾芭蕉の紀行文〚奥の細道〛を“ガイドブック”として、その足跡を廻るという旅でしょう。〚奥の細道〛は400年近く前の17世紀初め元禄年間の記録なのですが、実は、芭蕉自身はこの中で300年前の西行の歩いた道を歩き、その歌枕を訪ねているのですから、洒落ではありませんが、実に奥が深いのです。
〚奥の細道〛の中で芭蕉はいくつかの山に登っていますが、山形で羽黒山、月山、湯殿山のいわゆる出羽三山をめぐっているのが一番大変だったようです。その少し前には、寺とはいえひとつの山である立石寺(山寺)にも参詣しています。出羽三山のあとは酒田を経て象潟を訪ねています。その間に
閑けさや岩にしみいる蝉の声
五月雨を集めてはやし最上川
雲の峰いくつ崩れて月の山
象潟や雨に西施がねぶの花
などの現在も名高い名句が生まれています。今年の夏、この出羽三山と立石寺を歩いてみたいと思っていますが、このコロナ騒ぎの中で実現するでしょうか。
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