山中湖で相模川の源流をみる2022年08月31日 15:21


富士五湖のひとつである山中湖。そのすぐ近くにある石割山に行きました。この山は富士山の南東部に連なる道志山塊のひとつで一般的には初心者向きのハイキングコースとして親しまれています。目の前の山中湖を挟んで富士山とまっすぐに向かい合っている山ですから、当然、雄大な山と湖の絶景が見られるはずでしたが、夏の終わりの水蒸気のつくる厚い雲に邪魔されて、日本一の山はほんの少し裾野を見せただけでした。朝、富士急行電車の電車の中からは雲を貫いて富士の山体が確認できていたんですが、真夏に富士山は見えないようです。かなり昔のこと、夏季に地理巡検で数日間、伊豆の韮山に滞在しましたが、いつも靄のような雲に邪魔されて完全な富士山の姿が見られなかった思い出があります。最近では、7年ほど前の夏、本栖湖畔でキャンプをしたとき、近くの毛無山に行く途中の朝霧高原牧場から見た富士山が素晴らしかったのを覚えていますが、これも朝早くでした。


ただ、今回は気温が割合低かったこともあり、頂上(1412m)を含めて千数百メートルの稜線歩きは楽しいものでした。石割山は信仰の山です。登山道の入口は手入れの行き届いた気持ちの良い鳥居で、そこをくぐってスギやコナラの雑木林の樹林の中を一直線に延びる数百段の石段を登ります。少し行ってまた階段。そして8合目付近にある巨大な岩がご神体の石割大権現様である石割石です(上の写真)。高さは20メートルくらい、富士山の外輪火口の一部ですから巨大な火成岩ですが、その真ん中、垂直に大きな刃物で切れ込んだような割れ目があり、これは、人間の体の幅くらいしかない細い隙間なんですが、「神秘的」と神社案内にあるようにどんな太った人でもなんとかくぐることができるのだそうです。火山地形によくある「胎内くぐり」の類ですが、ここまできれいに割れているのがご神体たる所以でしょう。


麓から山頂までの全山、草木の茂った森林に覆われ、登山道沿いにもシカよけの新しい網が張り巡らされているのでわかるように植生も良く保存されているようでたくさんの花や木の実を見ることができました。地形マニアとしては最後の湖岸でバスを待つ間に、マリモ通りから相模川の源流である桂川が流れ出ている場所を確認できたのが収穫でした(下)。



山中湖は今から1000年以上前の噴火により流出した鷹丸尾溶岩流が当時の桂川を堰止めて形成されたと考えられています。流れ出た鷹丸尾溶岩の最終地点の露頭は観ることができるそうなのでいつか行ってみたいです。


ちなみに、この山中湖形成噴火の少し前にも、有名な「貞観噴火」と呼ばれる富士山の大規模噴火があり、この噴火で埋没した旧古代湖が分裂してできたのが現在の西湖と精進湖、本栖湖です。河口湖も噴火活動により約5000~2000年前に誕生したとされていますから、世界遺産・富士山の景観と風土は意外に新しい時代にできたものだというのが面白いところです。今後も、われわれの世代のすぐあとに思いもかけない天変地異が起こるかもしれません。


ついでに気づいたことですが、山中湖の南岸に沿う道路に「旧鎌倉往還」の表示があります。山中湖付近は中世から江戸時代まで東西の旅人が行き交う主要街道であり同時に参詣道でもあったのですね。「富士参詣の道を行く」というガイド地図も見つけましたので、ここにもひとつ楽しみな古道・散策路が発見できました。