無人運転の「舎人ライナー」2018年04月10日 07:29


赤山街道という、江戸時代の関東代官・伊奈氏が整備した古道を歩く会の行事で、日暮里・舎人ライナーの終点に。駅名にもなっている見沼代親水公園(東京都足立区)は、利根川から流れ下った見沼代用水がこの付近の毛長川に流入する最終地点につくられた公園ですが、今回、注目したのは日暮里・舎人ライナーです。

この電車には以前にも乗車したことがあるのですが無人運転とは気がつきませんでした。日暮里駅からほぼ一直接、道路上を一脚高架に支えられて10キロあまり走ります。この区域は地図を見るとわかりますが東京都と埼玉県が複雑に入り組んだところにあり、東京の田舎といってもいいような、地味な場所です。荒川の低湿地帯でもあるところから20年くらい前まではかなり田畑の残る地域で、かつ、バス便以外の公共交通のない「陸の孤島」でもあったようです。

都営交通のひとつとしてこの日暮里・舎人ライナーが開業したのは2008年(平成20)。ほんの10年前です。その後、沿線の人口も増え、今ではかなりの利用度合いと思われます。特長のひとつは「ひとと環境にやさしい新交通システム」ということで自動運転を行う新交通システムということです。

このところ、自動車の無人運転が注目されていますが、専用軌道を使う、こうした公共交通システムが無人運転に一番適していることは明らかです。お台場を走る「ゆりかもめ」がその代表ですが、この日暮里・舎人ライナーも着実に実績を積んでいるようです。

先頭車両に乗ると、確かに運転席がありません。操作パネルのような機器が隠されている可能性はありますが、とりあえずは人が運転することは考えていないようです。確かに、高架を走る専用軌道で、交差する道路や分岐線もない、これ以上は単純化しにくい路線ではあります。ホーム上ではすべてホームドアと連動。どこかで人間が見ていることは確かと思いますが、慣れてしまえば、水平に動くエレベーターに載っているような感じで、違和感や恐怖はありません。

こうなると、私がいつも乗っている武蔵野線なども、ホームの改良工事を行えば無人運転ができるのではないかと思ってしまいます。乗降客数が圧倒的に違いますから車掌さんは必要と思いますが、同じ線路を走る貨物列車や快速電車などとの調整も含めて将来的には、少なくとも技術的にはできそうです。

電車の自動運転が技術的さらに経営的に可能となった場合、自動車の場合もそうですが、最後の悩みどころは、運転・操縦という「仕事」には「面白さ」や「やりがい」という、より人間的な価値があるのではないかという考え方です。人命を預かる公共交通にはそれは必要ないという意見もあるでしょうが、そうした大変な仕事だからこそやりがいを感じるのも人間なのです。

この日も先頭の席に座って楽しそうな子供がいました。あこがれてもこの電車は運転できないのです。

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