馬の博物館と不動の滝2019年10月18日 17:35


来年2月に予定している講演会(埼玉県立歴史と民俗の博物館友の会)について相談するため横浜市にある「馬の博物館」にいってきました。明治の初め、日本で最初の競馬場がつくられた場所にあるのだそうです。志木駅から池袋で湘南新宿ラインに接続、いま話題の武蔵小杉駅を通過して、1時間と少しで横浜につきます。根岸線(京浜東北線)で乗り換え3駅ほどで最寄りの根岸駅に到着しました。

横浜は丘陵部と海沿いの低地からなりたっている街ですが、根岸駅前も、降り立つと目の前に高い崖線が続き、反対側には海岸沿いの工場地帯の景観が広がっています。馬の博物館はその崖を登rり切った場所にあるようで「島の上」という地名が付いています。長く続くこの崖を北に向かうと有名な三渓園になります。目的地はそれほど遠くないようなので歩きました。すると、途中の崖の中腹あたりにかなり急な石段の神社が目につきます。地図には白滝不動神社と記されています。バス停の名前も不動下というわかりやすいものです。

結局、その神社のほぼ真上が「馬の博物館」でした。用事をすませた帰り、その白滝不動神社に寄ってみました。崖の上の道路は曲がりくねり「急傾斜危険地域」という表示が目につくような危なっかしいところが多いようですが、いずれも立派な住宅が軒をつらね、通れるのだろうかというような狭い道に面して高級乗用車が停められています。

白滝不動へのその崖線上の道から、細い、人間だけが通れる小道が下に続いています。中腹に岩棚に小さな白滝不動尊がありました。龍の頭から清水がほとばしっている小さな池があり、その水は、裏側の岩盤から湧き出しているように見えました。参道に続く急傾斜の石段を下りていくと「白滝」が現れました。説明によると、ここには近年まで幅5メートル、高さ20メートルといいますから、相当に雄大な不動の滝が存在していたようです。そこにあった神社のご神体、不動明王もこの水(池)の中から出現したという縁起になっています。遠く三浦半島や房総方面からの参詣客も多く、先ほどの不動下には多くの茶店が並んでいたとのこと。

一方、この地には、幕末から居留し始めた西洋人のために、散歩道や運動場がつくられ、この崖の上の平地には明治年、日本で初めての競馬場がつくられています。この競馬場では戦前まで盛んにレースが行われていたとのこと。「馬の博物館」はその跡地に造られたわけで、広大な式にはいまは根岸森林公園になっています。

滝不動に向かう道は参詣道であるとともに居留外国人の散歩道でもあったようで、かつて横浜の人たちは囂々たる滝の音を聞きながら、この旧坂を登って競馬場に向かったのでしょう。不動の滝は、今でもありますが、ほんの痕跡をとどめるだけです(写真)。どこに行ってもそうですが、古の自然は想像するしかありません。

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