大宮の絵馬展2019年11月07日 18:23


さいたま市の大宮図書館(大宮区役所内)で「大宮の絵馬」という展示会が開かれています(11/6~11/9)。主催は大宮郷土史研究会という団体で、旧大宮市時代から地域の歴史を調査研究してきていますが、今年が会の設立50周年ということで企画した記念事業のひとつとのこと。

会場では、大宮市地区のいくつかの神社の所蔵絵馬(写真も含みます)が、①大宮宿の中心にあった蔵屋敷稲荷神社に奉納されたいた江戸時代からの、かなり状態の良い実際の絵馬を含めての展示②絵師の系譜として、こうした絵馬を描いた絵師を描いた絵馬③日清戦争以後の戦争(出征や勝利の記念など)にかかわる絵馬―に分類されて多数展示されています。

こうして神社に奉納された絵馬の推移をみるだけで、庶民の生活史の資料をみているような気になります。

私は5歳の時から大宮市に暮らしていました。30歳の時から荒川をはさんだ朝霞市に移ってしまいましたが、今でも実家があります。ここ10年ほどは大宮公園にある県立博物館関係のボランティア団体に所属している関係で、大宮郷土史研究会の方に何人かの知り合いがいますので、このかなり地味な展示会をみる機会を得ることができました。

絵馬展の開催された大宮図書館は今年完成した大宮区役所の中にあり、展示されているのは1階にある展示スペースになります。2キロも続く氷川参道の中ほどに位置して、私の通っていた大宮高校のすぐ近くにもあたります。

寄居・花園城で藪漕ぎ2019年11月18日 12:01


秩父の入り口・寄居には有名な鉢形城がありますが、この百名城の付近には他にも枝城と思われる山城が点在しています。それらの城(跡)はあまり見学会などの対象になる機会もないようで、私も名前を知っている程度でした。毎年11月14日は「埼玉県民の日」で東武線にもフリー乗車券という割引切符が発売され、寄居まで480円で往復することができます。これを利用していつもは秩父方面の山行が企画されるのですが今年はありません。そこで今回は寄居近郊のこうした4~5つの山城をめぐる「まち歩き」を考えました。

予定した徒歩散策箇所は、私が愛読している『比企の中世・再発見』という嵐山史跡の博物館が発行した小冊子に掲載してある「鉢形城周辺の遺跡」というコースです。歩く距離は秩父鉄道の野上駅から寄居までの16.8キロメートル。山の会の友人と3人で気楽に廻ってみようということでしたが、少し山城を甘く見ていたかもしれません。

最初に訪れたのは天神山城跡。中世、この地の豪族だった藤田氏の居城のひとつで、秩父鉄道・野上駅から徒歩30分ほどの荒川の河岸段丘上にあり、標高220メートル前後の静かな樹林になっています。ところが、最初はコースガイドに描かれた道路が続いているのですが、途中でこれが通行禁止になり、そこを越えていくと続きの道が見当たりません。仕方なく、下に降りて、ガイド地図上で城跡と描かれている地点に近い白鳥神社に向かいます。ここからは確かに道がありましたが、ほとんど歩いた人もいないのではないかと思われるほど急な歩きにくい。くねくねと坂を登り、ようやく頂上(?)へ着きますが、そこには朽ち果てた神社の跡と思われる建物があるだけでした。

2つめの寄居要害山城跡は、つつじ山という地元の観光地になっているので歩道、階段、見晴台などの施設が整備されていて楽に登れます。この城の歴史解説パネルも建ててありますが、実際の城跡として残るものはあまりないようです。荒川の両岸が見える絶好の場所なので見張台ということでしょうか。

3番目の花園御嶽城跡は、昨年登った少林寺の裏手にあるようで、少し登山ぽくなりそうなのと時間の関係で棄権。問題はその次の本命・花園城跡です。ここも藤田氏の居城ですが、この付近が支配の中心地だったらしく、規模も大きく堅固な造りになっているようです。歩いてきた荒川沿いの道から見上げるとけっこうな高さで、比高は80メートル程度。麓には竹林、山全体はスギに覆われているのですが、ただ、史跡というにしては、はっきりした登山道がありません。地図をみると麓に見える神社(諏訪神社)の裏手から細い道がありそうです。

ところがこの山道、登っていくといつのまにか藪の中に消滅してしまいます。見るとかなり広い窪地が尾根に垂直にできています。これは縦堀と呼ばれるこの城の特徴のひとつである構造物なのですが、ササ竹などが密集している箇所もあり、なんとも歩行が困難そうに見えます。結局、頂上がそう遠くにあるわけではないので、挑戦した2人は木の根やササをつかみながら無理やりに登り続け、平坦な尾根に到着しました。

この城にはいくつかの郭がつくられ、その間をかなり深い土塁が守っています。北東にある本廓と思われる場所には「花園御嶽城址」の石柱が建っています。2メートル以上ある立派なものです。当然、帰りもヤブコギをしながらの体力勝負となりました。この山城は、岩盤を掘った立派な掘割や長大な縦堀など多くの特色を持っています。整備すれば、鉢形城と組み合わせた山城の観光セットになりそうです。なんとか、登山道を整備してほしいものです。