議事堂公園の日本水準原点2023年05月19日 13:08

東京駅周辺を歩くという「まち歩きコース」の企画を考えていまして、その下調べに出かけました。梅雨のような日が続いていた5月中旬でしたが、この日は涼しく気持ちの良い風が吹いて、日曜日でもありましたのでビル街を行き交うビジネスマン(いまでもそんないいかたするのか?)も少なく、快適な散歩が楽しめました。


若いころに丸ビル(もちろん旧丸ビル)でアルバイトをしていたことがあり、その後も当然ながら、東京駅周辺特に丸の内周辺を訪れる機会は多く、いわばなじみの場所ではあるんですが、最近は近くを通りがかる程度なので、あらためて東京駅と皇居の間に広がる大手町一帯のビジネス街の、特に多くの建築物とその間を小道など外形的な変貌だけでも、目の当たりにしていささか驚き、これは「散歩」の対象になるなと実感しました。


この日は東京駅前か日比谷通りまでの間、三井物産ビル付近と丸の内と皇居広場から桜田門を通って国会議事堂前公園と日比谷公園までを散策しただけですが、いくつかのポイントが見つかりました。あげてみると



①東京駅の変貌(数年前の復元工事が大きい)/②観光地と化した平将門塚と独自の風水地形/③明治生命観ビルをはじめとする古典主義様式あるいはその継承である数々の重厚なオフィスビル/⓸それらのビル街の合間にある、植栽を配置した公園状の空間/⑤国会議事堂前公園とそこにある日本水準原点/⑥日比谷公園内の文化財的施設


これという目立つ場所はないのですが、中層ビルとその間に緑地と遊歩道を有機的に配したこの場所は、丸の内の建物を首都の玄関としてふさわしい威厳と美しさで実現しようという意思が感じられ、ひねくれた見方をしなければ、非常に感じが良く、あえていえば日本人の自尊心を満足させるものにもなっていると思います。日本の経済力は弱まり、文化が空洞化しているともいわれますが、この数十年間のゆっくりした歴史の歩みの中でたどりついも成果のひとつがここから皇居、日比谷を含めた一帯の都市景観だといえないこともないと、私はここに来てみて思います。


(上の写真)ところで、国会議事堂前公園にある「日本水準原点」は、行ってみたことがなく、今回初めて見学しました。地理学の徒でもなければほとんど注目する人もない隠れた施設ですが、日本全土の土地の高さ―標高点の基準になっている重要な場所です。ただし、全国にはこの基準点から計測した水準点が無数にありますので、いまさらここから測りおすことはないのでほぼ忘れられています。私は一応、地理学科を出ているので、関心がないことはなかったのですが、それでも今回はじめてというのですから情けないことです。なお、日本水準原点は標準海面(日本では東京湾がメイン)からの高さですから、地殻の変動により上下します。最近では東日本地震(2011年)の影響で11センチも下がり、大正時代の関東地震と合わせて、基準設置時より13センチ下がって、現在の標高は24.3900メートルとなっています。東日本地震がいかに巨大だったかがわかります。(追記:緯度経度原点は東京タワーの近くにあるそうですが、水平方向には20センチ以上の変化があったそうです」)


施設の付近には1等水準点が5カ所あるようですが、3カ所しか確認できませんでした。また、正面の20メートルほど前に中心に金属の埋め込まれた円柱が立っていて、無関係とは思えないのですが、よくわかりません。



大手町にある将門塚についても実は来たことがなく今回が初参拝。ビルの谷間の不思議な空間はいまや観光地ですが、あまりに整然としすぎていて、『帝都物語』の冒頭のようなおどろおどろしい異世界感はありません。

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