雪の日のカラス2018年01月27日 16:45


1月22日、関東地方には珍しい大雪。その後には記録的な寒波が続いています。厳しい冬の訪れといえそうですが、日本のような文明社会(古い言葉ですな)に住んでいるわれわれ人間には実はそれほど深刻ではありません。外に出ている時ちょっと寒いだけ。中には好んで高い山に行く人さえいます。

大変なのは野生動物。それも冬眠しないタイプの哺乳類や渡りをしない鳥類には雪は深刻な脅威になります。雪の下は意外に暖かいという意見もありますが、それも程度次第で、豪雪の年に多くの野生動物が餓死することは事実です。人間だって石器時代人は多分そうだったのでしょう。

大雪の翌日、さいたま市の大宮公園を通りかかると、桜の大木に囲まれた雪原の上で何かをついばんでいる数羽のカラスを見かけました(上の写真)。雪の下に枯れ葉以外に何があるのか、しきりに土の中をつっついています。虫でも探しているのかもしれませんがもしかしたら隠しておいた食物を掘り出している可能性もあります。一部の鳥類や小動物は、見つけにくい場所に食べ物を隠匿しておいて後で取り出して利用する「貯食」ということをしますが、実はカラスの仲間はその代表です。

カラスほど人間に嫌われる鳥もいませんが、それでも平気でこうして公園などにのさばっていられる大きな理由は、鳥類にしては大きく強い身体やなんでも食べる雑食性ということもありますが、やはりよく知られているような「頭の良さ」でしょう。知能の高さというと、まるで動物ではないようですが、一説には霊長類並みといわれるほどです。貯食行動も多分その応用のひとつで、100か所近くの貯食場所を記憶していたという観察例もあります。しかも腐りやすいものなど、食物の内容により、利用時期を考えているという話を聞くと確かにこれは高等動物です。

野生生活では、食べ物は時により大量に得られ、時により不足します。人間はこれに対応するために保存の技術を進歩させ、最後には農耕や牧畜という究極の食物の自給システムを生み出します。カラスなどは、そこまでいきませんが、数日の食料危機は貯食でカバーし、そのうちに飢えで倒れた他の動物があれば、その死骸をいただくことができるということで飢饉を乗り越えてきたのでしょう。これで10~20年の寿命があるというのですからまったく驚くべき生物です。

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