森林公園内の鎌倉街道2016年02月06日 11:05


嵐山史跡の博物館が数年前に出した『歩いて廻る比企の中世・再発見』という冊子があります。比企郡内の遺跡・史跡を中心にした手軽なまち歩きを13コースに設定したガイドブックで現在も発売されています。お分かりのように、コースのメインはこの地域の古寺、山城そして鎌倉街道です。少し前からこの中のいくつかを歩き始めていますが、先日は、「もうひとつの鎌倉街道」と題されたコース6に行ってきました。場所は森林公園内という手軽さなのでちょっとした散歩のつもりで出かけられます。ただし、コース後半の古寺訪問は公園を抜けて嵐山町方面に向かいますので少し大変です。

国営武蔵丘陵「森林公園」には行った人が多いと思いますが、子供を連れてのハイキングという感じがほとんどなので、この中に鎌倉街道や山城があることをご存じないかもしれません。実は私もこの本で教えられたんです。実際に行ってみると、駅から歩いても行ける南口から入場してすぐ右の丘陵地帯の中に山城跡も古街道跡も簡単に見つかります。山城の周囲には空堀がきれいに残っているのですぐわかります。整地された廓の中に「山田城跡」の案内版が立っていますが、城自体はとても小さく、松山城の出城といった感じです。ガイドブックでは、この城の北にも谷城跡、山崎城跡などがあることになっていますが、「近年発見」とあるようにあまり明瞭ではなく、伝承もないようです。

この山城群に沿って走っているのが鎌倉街道とのことで、街道から城への入口と思しき地形も確認できます。土塁ともども実際の遺構なのでしょうか。

城跡から少し途切れていますが、笹薮の中に一筋の小道が現れます。歩いていくと「古鎌倉街道」の案内版が建っています。この小道が古くからあるものなのか定かではありませんが、いずれにしろ公園内で終わってしまいます。実際の街道はここから北上して熊谷を通り、深谷市本田(鹿島古墳群の近く)を通って寄居で本道(上つ道)につながっていたとのことです。逆に南下すれば、笛吹峠を通っている本道に合流できます。全体に公園内なので城跡も古道もよく管理・保存されています。こうした場所の見学には落葉も下生えも少ない今から3月頃までがちょうどよいと思います。