『平家物語』を楽しく再読2018年02月19日 14:53


このブログの216/02/11の記事に「『平家物語』をきちんと読んで記録をつけてやろうと思い始めた」と書いてありますが、なんとその後の2年間、ほとんど進展していません。『平家物語』は高校生の頃から好きでしたので、2年前のブログを書く前にも読んではいたのですが、古文を読む素養がないもので、きちんと読んでいたかどうかは疑わしい。時間ができたのを機会にこんな決意をあらためて表明?したということです。

もともと『平家物語』は、古典文学としては非常に読みやすい、つまり難解でないという特色があります。琵琶法師が話して聞かせる芸能として成立したということが大きな理由かと思います。ストーリーも単純ですし、歴史=年代記そのままでない創作の部分もあるようでその分理解しやすい。実は、私は、新潮日本古典集成というシリーズの中の3巻セットを持っていまして、繰り返しになりますが、一応、通読はしているんです。しかし、この古典シリーズにはいいかわるいかは別として、本文の横に色刷りで難解な文節への現代語訳が掲載されています。このため、ついつい現代語訳のほうに目がいってしまい、原文(古文)を読んだとはいえない気がしていたわけです。

また、新潮日本古典集成版は「八坂流」とよばれる写本を基本にしています。『平家物語』にはもうひとつ「覚一本」と呼ばれる系統があります。実際にはさらに様々な写本があるわけですが、この「覚一本」のほうが広く流布されていまして、作品論などの引用にも使われることが多いと思います。覚一とは『平家物語』を集大成した中世の琵琶法師といわれています。

ということで、もう一度読むならこの「覚一本」でと思っていたわけですが、これが1冊に納まっている『平家物語 覚一本 全』と、まさにぴったりのものが見つかりましたので購入。480ページという大冊です。頭注はついていますが、本文は原文のみですから、文字は大きいですが、確かに、すらすら読めるとはいきません。調べながら楽しんで、少しずつ、中世と現代を行き来する時間をつくりたいと思います。

上の図は国会図書館デジタルコレクションの中の「平家物語」より:http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2590758