浮世絵クラブのまち歩き―明治神宮と浮世絵博物館2016年03月01日 16:04

広い参道の周りに森がひろがります
埼玉県立歴史と民俗の博物館友の会の中での活動「浮世絵クラブのまち歩き」が行う見学会を2月28日(日)に開催しました。13名が参加ですが、だんだん参加者が減っていくような気がします。

この日は、東京の表参道周辺ですが、まず午前中に好天のもと、明治新宮を散策しました。初詣などでおなじみの場所ですが、今回は「不思議の森」としての明治神宮の自然を観察しながら歩くという企画です。よく知られるようになった通り、この明治神宮の森は、もとからあった天然林ではなく、今から90年ほど前に、当時の日本人が壮大な構想力をもってつくり上げた「人工の自然森」という成り立ちを持っています。

この日は時間が限られていましたので、参拝後に自由に歩いてもらいました。西門を出てから北の池周辺をまわってだけでもう時間になります。広大さがわかります。森の中はクスノキやカシノキなど常緑の広葉樹が多いのが特色です。いわゆる武蔵野のケヤキやコナラを中心とした雑木林との違いがよくわかります。森の中は一日歩いていても飽きないでしょう。春や夏にも来てみたいものです。

午後は表参道の太田記念美術館へ。ここは14000点以上の浮世絵を集めた専門美術館です。時期に応じて作品を順次展示しますが、この日の特別展は「勝川春章―北斎誕生 の系譜」です。ここでは日曜日にはよくわかる「浮世絵の歴史」を上演していますが、今回の展示では地下も展示会場になるため映画はなし。勝川春章だけでなく、北斎や写楽などの絵も展示され、浮世絵師の系譜―流れがたどれるようになっています。

美術館見学のあと、近くの東郷神社へ。ここも境内は静かな場所ですが、一歩外へ出ると竹下通りの喧騒です。原宿というところは面白い街です。最後は半世紀前の東京オリンピックで使用された代々木体育館などをながめながら渋谷に下りました。(NT記)

笠山・堂平山に登る2016年03月05日 16:21

なにか冬山のような
少し投稿が遅れましたが、2月27(土)に朝霞・山遊会の一行9名で、奥武蔵の代表的な峰として知られる笠山~堂平山~剣ヶ峰~白石峠を歩いてきました。最高の剣ヶ峰でも876メートル程度の低山ですが、武蔵嵐山に行くたびに遠く眺めていた山です。『むさし野』(法政むさし野会)に青木さんがこの山についてエッセイを書いていた記憶があります。早朝、午前6時前の東武東上線で小川町へ。駅から7時過ぎのバスで「皆谷(かいや)」までは30分ほどほぼノンストップで走行。そこから林道を経て登山道が続いています。毎年、東武鉄道が「秩父七峰ハイキング」を実施している場所なので、登山道にはそのチェックポイントを示す標識が随所にあります。

笠山まで2時間弱でしょうか。聞いていたように笠山頂上には何もないので、少し進んで笠山神社のある丘へ登ります。そこにあったのは意外にちいさな祠ですが、ここで雨乞いなどの儀式が行われたのでしょうか。次いで堂平山へ。この山の頂上付近は芝生におおわれ、かつての天文台の建物が目立ちます。ここにあるキャンプ場は3月からの営業のようでトイレも閉鎖されていました。昼食後、剣ヶ峰へ。頂上には無線中継施設(中継塔)がそびえています。

そのまま進んで白石峠。ここから下山します。バス停への道にはこの付近のみ斜面に雪が残り、登山道にも雪が積もっていました。凍ってはいないので用意したアイゼンを使う機会はありませんでした。白石車庫バス停についたのが13時30分くらい。4時間くらいのアップダウンでしたがあまり疲れは感じませんでした。今回のルートの向かいに大霧山があり眺望がよいとされています。この日の歩きで大体の様子がわかりましたので、挑戦してみたいと思います。東武鉄道の「秩父七峰ハイキング」はけっこうな人気があるようですが、このルートをもっと面白くするためには、なにか工夫が必要でしょう。

完全休養の土日2016年03月06日 18:15


先週の土日に「山歩き」、「街歩き」と連続して出かけたせいか、腰が疲労のため張ってきました。無理に動かすと痛い、いやな感じ。そこでこの土日の2日間はほぼ完全休養しました。

午前中に駅前にいって買い物やコーヒーを飲んだりするくらいで、きつい運動や散歩もいっさいなし。おかげで日曜の夜には痛みはほぼなくなりつつあります。

肉体というのは、具合が悪い時にはしきりに気になり用心するのですが、いったん治ってしまうと、もうそのときの苦痛を思い出せない。ばかりか、その部分自体に気持がいくこともなくなってしまう。

じつに単純なものです。これはすべてのことにいえるかもしれません。人間はわすれる動物です。

緑泥石片岩の採掘現場2016年03月13日 16:43

ここが採掘跡です
3月11日、武蔵嵐山にある埼玉県立史跡の博物館の主催する「文化財巡りの3 小倉城とその周辺を歩く」に参加しました。先週は結構暖かい日もあったのですが、この日は寒い。おまけに出かける時間には小雨がふっていましたが、天気予報を信じて駅へ。武蔵嵐山までは約50分かかります。今年になってから、この博物館関係で3回、登山で1回と急にこのへんに来る機会ができてしまいました。不思議にこういう縁はよくあります。

まずは史跡の博物館に集合して、ここから菅谷城館を横切って小倉城跡、割谷ほかの採掘遺跡を見学しながら、最後は小川町の伝統工芸会館まで徒歩で移動するというルートで、歩いた場所は西に向かってほぼ槻川に沿って進む感じです。

博物館のほうでこうしたルート地図も入った大変よくわかる資料を用意してくれましたので、最後まで見学場所とその全体的な位置関係が把握できます。(仕事で行う館のひとと違って)われわれボランティアのレベルではなかなかここまでできませんが参考になります。

さて、今回の見学会の目玉は「緑泥石片岩」です。板碑などに使われている例の緑色の石ですが、その採掘現場(のひとつが)がこの地域だとして特定されたのはわりと最近のことです。本日の行程にある小倉城もこの石をつかった築城方法が注目されている山城です。もちろん、有名な嵐山渓谷も槻川がこの岩盤を侵食して創り出したものなのです。

割谷という地区にある、この「緑泥石片岩遺跡(国指定)」は小高い丘の中腹にあり、付近一帯は、掘り出した石ガラが堆積して稜線を形成しているような場所です。付近には近年まで石材を切り出していた場所があるそうで、古代から盛んに利用されていたことがわかります。

ただ、博物館の人もいっていましたが、遺跡としては非常に地味で、見せるものが採掘跡くらいしかないのが苦しいところです。鉱山のような建築物遺跡や採掘道具などがありません。現状では、ここにくるのはハイキング客くらいのものでしょう。

玉川上水の取水堰2016年03月27日 18:24

山城のように見えるが用水の堀跡

エコシティ志木の見学会「野火止用水を歩く」という企画の4回目で、拝島駅(福生市)から堰まで歩き、玉川上水の取水堰に到達しました。

江戸時代につくられた玉川上水は飲料水として使われたばかりか、広く武蔵野台地一帯を潤す貴重な水源ですが、途中に「水喰土(みずくらいど)公園」というのがありました。最初に開削した用水の水が地面に吸い込まれて(喰われて!)完成しなかったという場所で、堀跡がそのまま残っているのです。旧堀跡はこの他にもあり、短期間で完成したといわれる玉川上水にも工事には多くの困難があったことを忍ばせます。

奥多摩街道から多摩川の河岸段丘をのぞむ小高い崖の上に出ると、多摩川低地を一望する雄大な光景が広がります。ここで、「これで武蔵野台地を横断したことになります」との主催者の言葉に一同感激。確かに、荒川低地の新河岸川に注ぐ野火止用水の暗渠を歩いて遡りはじめて、ここはとうとう多摩川なのです。取水堰の付近は開放的な公園の雰囲気がただよっています。

江戸時代、この多摩川の水がいくつもの用水を経て、武蔵野台地を横切り、荒川に注いでいました。現在は逆に、荒川の秋ヶ瀬取水堰からの水が、多摩川水系の村山貯水池に送られ、多摩川の水と一緒になって東京都民の飲料水になっています。そのルートは昔の野火止用水→玉川上水とほぼ同じです。さらにその荒川の水には少なからぬ利根川の水が含まれているのですから、古代からの水と人間の営みの壮大さを感じます。

明王峠で「石投地蔵」に2016年03月29日 13:50

これが石投地蔵

3月26日に地元の山の会の一行(15人)で、裏高尾方面の山歩き。今回は、JR相模湖から明王峠を通って影信山に登り、小下沢(こげさわ)伝いに小下沢梅林まで降りるコース。明王峠までは、与瀬神社(慈眼寺)を通らずにその南側の貝沢という杉林の中を歩くコースでした。途中に大平小屋という休憩所があり、そこで少し休憩。

その先を少し登ったところに「石投地蔵」というのがあります。写真でお分かりのように人の背丈くらいに積まれた小石の山です。この中に地蔵が埋まっているのでしょうか。説明版によると一名「嬢が塚」で武田一族の姫伝説があるようですが、あとで調べると、別の伝説もあり、これもお姫様の話です。しばらくして明王峠。登山者がよく休憩する場所ですが、不動明王が祭られているのでこの名なのでしょうか。

なんとここで雪が降ってきましたが、幸いすぐに止みました。長い稜線をおりたり登ったりしているうちに貴信山へ。ここは高尾方面からひとりで来たことがあります。今回は比較的眺めがよく、八王子方面がきれいに望めました。昼食。

12時過ぎに、東尾根をはさんだ道で下山。地図で見ると中央高速道路をはさんで高尾山の反対側になります。進行右側に圏央道の白い橋脚が見えます。この辺の地下にはいくつものトンネルが掘られていることになります。やがて小下沢に。谷川沿いに降りていきます。矢倉沢との合流地点では渓流の野草を撮影する人がたくさんいます。木橋を渡ると広い沢沿いの林道に。この辺は相模湖の水源地で小さな流れがたくさんあります。山岳協会が景観保全の活動をしているようです。

やがて小下沢梅林へ。今年は梅の盛りは過ぎていました。無料で中にいれてもらい15分ほど散策。きけば、この梅園はもともと中央高速道路の建設残土で沢を埋めてできた人工の丘で、市がここに梅を植え、市民ボランティアが管理・運営を行っているそうです。高速道の橋脚をくぐって、小仏バス停からバスでJR高尾駅へ。この通りは旧甲州街道のようです。