国会図書館を見学2023年07月26日 16:25


おなじみの「まち歩き」で、これはどこの「まち」になるのか分かりませんが、国立国会図書館を見学してきました。国立国会図書館といえば思いつくのはその「納本制度」で、これを何かの特典とか出版物に対する特別扱いと考えている人もいるようですが、法律によって日本国内で出版した書籍(の体裁が必要)は国立国会図書館に納本することが義務とされているのでだれでも納本可能です。普通は出版社側がまとめて「献本」という形で郵送します。私も本の風景社という小出版社で出した書籍はほとんど納本していますので、総目録に掲載されています。


実際は、日本の 立法府 である 国会 に属する国の機関でして、国会の立法行為を補佐することを第一の目的とする 議会図書館 というのが第一の趣旨で、当然 行政 司法各部門の調査研究に利用され、日本 国民 に対するサービスも同時に行っているということになります。


地下舘・永田町からすぐにある国会図書館は、国会の目の前にある巨大なビルで前川国男のデザインによる地上部分5階、地下4階の正方形の建物で、これが東京本館です。すぐ横に東京新館があり、これも前川デザイン室設計で、こちらは地下8階までの巨大な書庫がつくられています。延面積は約72,900平方メートルと壮大ですが、それでも書籍・雑誌だけ1500万点以上という膨大な蔵書・資料の収納には到底十分ではないようで、関西にある分館で地下書庫が順次増設されているとのことです。


今回、申込者は21人でしたが、受付に行き、なんとか全員見学できることになりました。ほとんどのひとが初めての体験でやや緊張気味。担当の方から説明を受けたあと2つの班に分かれて館内を見学開始。見学者証を首に下げて入ったフロアには中央に大きなカウンターがあり周囲には数十台の端末画面があり、早くもかなりの利用者が端末に向かい合ってなにやら情報検索をしています。資料はすべてここで検索して閲覧や使用を申し込むことになっているので室内は非常に静寂です。館内はステンドグラスの仕切りなど重厚なデザインです。ここは無言で通り抜けて館内を一巡したあと本館に続いている新館に移動、吹き抜けのエンテランスには池田満寿夫柵の大作壁画が飾られたいました。ここで、いよいよ見学者は地下8階にある東京館最深部の書庫に案内されます。地下30メートルの部屋はエアコンなしでも涼しく地震にも強いとのこと。広大なフロア内には特製だという高さ2メートルほどのキャビネット(本棚)が隙間なく並び、係員がその中を歩いて資料を探し、専用のベルトコンベアに乗せています。それが地上の閲覧室に送られるそうで、ここも静かで清潔な雰囲気が伝わってきます。見学したのは専門新聞・雑誌などのコーナーで、幅の広い書棚には数多くの専門雑誌や業界別の専門新聞が製本されて整然としか大量に積まれています。背文字に書かれた実に多彩な紙誌名を眺めながら歩いていると、の空間の中にいかに膨大な情報―それはわれわれの生きた時代と世界そのものです―が保存され、今後(われわれ世代がなくなった後)も維持され続けていくかと思うとちょっと不思議な感じがしてきました。


ここで私は、20代のころに勤めていた専門会社で出していたある雑誌が「創刊50周年」(だと思いましたが)記念号を出すというので、その雑誌の編集担当者が国会図書館に行き創刊時代の雑誌を借りて写真を撮ることができ「感動した」という話をしていたのを思い出しました。自分の会社にも無くなっていた雑誌がきちんと保存され残されていたことに文化の継承性を感じたのだと思います。


しかし働く人にとっては一日中地下にいるのは心理的には大変かもしれません。そのためかフロアの中心に非常用の階段を含んでビルの中心を貫く吹き抜け空間があり、その天井は曇りガラスながら太陽の光が差し込むようになっています。ここで休憩をとるのでしょうか。ちなみにここだけが写真撮影できますが図書館の中はまったく見えません。


担当の人がここにある資料の中から「日本最初の新聞」として保存してある『横浜毎日新聞』や『郵便報知』などを実際に見せてくれました。本当に明治初期の新聞です。見学終了後に質疑応答があり、1時間半以上の見学時間になりました。