ビデオ『時の旅人』とは ― 2025年08月19日 15:01

このブログは2015年頃から書き始めています。10年間よく続いたなと思いながら、これまでの記事を見直してみました。小さなミスや誤記を訂正した程度ですが、その中でひとつ、ブログ開始の少し前にやったことに触れていないのに気が付きました。ご存じの2013年(平成25年)3月に東北大震災と福島原発事故が発生し、日本中が騒然としていましたが、その前年(2012年)に、このブログでたびたび登場する「埼玉県立歴史と民俗の博物館友の会」という団体が『時の旅人―岩槻編』という17分弱の映像(ビデオ)を制作しています。私はその2年前くらいにこの団体の会員になったばかりでしたが、それなりに製作に関係しました。その前年にはこの会が同じ体制で「能楽」の舞台をつくり、能楽師を招いての舞台公演(能楽ワークショップ)を開催し、ほぼ同じ時期に『能・狂言 これがポイント』という16ページの冊子も作成しています。
この期間は、上記「友の」会の発会まもなくで、さらに時期もよかったようで、今は終わっていますが「花王コミュニティ・ミュージアム・プログラム」という文化団体への助成事業があり2009年と2010年の2年連続でこの助成を受けるという幸運があっての事業だったように思います。日本の経済状態もそれほど悪くなく、中心となったこの会の会員・役員もほとんど60歳代の若さ(!)でしたし、なんだか一気にいろいろなことができた気がします。私もまだ仕事をやり、他の団体の用事もあるという中でしたが、それほど大変だったという覚えはありません。順を追っていくと、以下のようになります。
2010年(平成21)花王コミュニティ・ミュージアム・プログラム2009:能楽開催(2010/03)、冊子発行(2010/08)
2011年(平成22)花王コミュニティ・ミュージアム・プログラム2010:ビデオ『時の旅人』制作(2012年5月)
順不同になりますが、私にとって一番記憶に残る「ビデオ制作」のことを最初に述べてみます。
真夏の撮影で岩槻の街を歩く
時期的にはその前の小冊子作成や能舞台事業から役員として参加した私ですが、ビデオ制作についても同じ役員でやっていますから自然に話し合いの中に入っていきました。前年からの助成事業のテーマの中心が「人形の街・岩槻」ということでしたので、まず最初はテーマに沿ったシナリオを作るということになりました。埼玉県の岩槻は現在はさいたま市の区になりますが、江戸時代を通して岩槻城を中心とした城下町として栄え、また「ひな人形の産地」としても有名です。とはいえ、全員、どうしていいのか分からないという感じでした。私は若いころ映画制作の学校に行っていましたので(途中で退学)、動画にはまずストーリーが必要ということで<岩槻は街の中央を日光御成街道が通る歴史の街>ととらえ、その今昔を対比して描いたらどうだろうと提案し、まとまりました。調べていくうちに、徳川将軍が通る日光御成街道を描いた絵図が残り、国立公文書館に所蔵されているその画像をパソコンで見ることができることもわかりました。絵図には、岩槻を中心とした街道の自然風景や両側の街並み、街道を歩く武士や商人などの旅人の姿が描かれており、これは観ているだけで面白い。しかも寺や神社の位置も道の形もほとんど変わっていない。川も橋も変わっているがほぼ同じ位置にある―これはいけそうだと思いました。
主な撮影ポイントを決め、実際の撮影は2011年の夏でした。暑い中でしたが、御成道や元荒川の河岸を役員一同で行ったり来たりしたことを懐かしく思いだします(写真)。残念だったのは購入した撮影カメラが中古で解像度が低く、現在のようなきれいな画像が撮れなかったことです。この事情は分かりませんが、品質にはあまり関心なかったんですかね。
編集はパソコンで
苦労して撮影が終わり、編集を経てビデオを作成するわけですが、映像の世界もアナログからデジタルの世界に変化していて、少し知っていたフィルム時代とは隔世の感です。ただし、パソコンと専用ソフトを使い、素人でも操作できます。ほんの少し指導を受けた映画監督が推奨する「EDIUS-NEO」という個人用ビデオ編集ソフトを購入し、ついでにパソコンも(他の面でも必要だったので)友の会で購入しました。実際の運用は、当時副会長だったNさんと私が自宅に記録用のSDカードを持ち帰って悪戦苦闘して仕上げました。フィルムをハサミで切って繋ぐという古典的な手法から見ると、複数の画像ファイルを1本のプロジェクトにまとめ、タイムテーブルにしたがって移動や追加、削除を繰り返す映像作成は、むしろ、私が当時仕事で使っていた画像ソフトやDTPソフトに近い感覚で操作でき、画面に文字ブロックを装入するのもワープロソフトのようでした。出版物編集の技術が役に立つというのは他でもありましたが、どんなものもやって無駄になるものはありません。
ナレーションは現役アナウンサー
ビデオの出来を決めるものに音楽とナレーションがあります。音楽については、作曲してもらうわけにもいきませんので、著作権の切れた古典音楽を使用しました。静かな雰囲気のベートーベンのピアノソナタで、これで映像全体のムードができました。問題はナレーションで、これは素人では難しい。困っていると、ひとりの会員の方が「私の娘に頼んでみましょう」といってくれました。なんと当時のTBSの現役アナウンサーの広重玲子さんでした。これは幸運(もちろん無料)、映像と台本が完成した段階で、スタジオはないので、某会館の静かな事務所で無事録音できました。
ビデオの最後の場面に、カメラをのぞき込む小学生の団体が出てきますが、これは撮影中にカメラが回っているのをそのままにしておいたところ、遊びに来た子供たちが好奇心でのぞき込んでいたのをあとで見て、これは面白いと使用したものです。「時の旅人」は現在の風景の背後に過去の歴史や伝統があるということを伝えることがテーマですが、ここに未来を生きる子供たちの明るい表情がはいることで、偶然ですが、過去と現在と未来がつながったよう気がしたわけです。
当時は映像はCD-ROM媒体で配布することが一般的でしたので、数十枚を作成し、関係先に配布したりもしました。今回久しぶりに再生しようとしたのですが、CDドライブがあるのは2世代前のPCでした。また、現在はファイルで流通ということになりますので、主流のMP4形式に変換したいと思いましたが、当時のPC標準の「MediaPlayer」で変換するとなぜか音が出ない。結局、新しいWindows11の「Clipchamp」というソフトで変換ができました。メディアの世界も複雑です。忘れていたのですが、この映像のPR版という短いビデオもつくっていました。以下を見てください。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://mylongwalk.asablo.jp/blog/2025/08/19/9797074/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。


コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。