芝川調整池のオオハクチョウ2023年02月03日 11:01


JR武蔵野線・東浦和駅からすぐ近くの芝川調整池は、さいたま市の東部に広がる見沼田圃にあります。芝川というのは大宮台地の流れる中小河川で、私の少年時代は(当時はどこでもそうでしたが)水質汚染が進み、あまり評判のよい川ではありませんでした。さらに周囲の市街化とともに洪水を繰り返すようになり、そのために造られたのがこの調整池です。東京の方に向かって左側(左岸)の調整池はかなり前に完成しており、反対側(右岸)も現在工事中です。


この調整池は建設当初から埼玉県生態系保護協会などとの連携で洪水調整を主としながらビオトープ的要素も併せ持っことになっていまして、自然護岸であることはもちろんですが、周囲には人工的な森林も配備されています。池を一周する堤防上の遊歩道がありますのでゆっくり歩いて1時間以上、春夏秋冬の自然景観を楽しめる場所になっています。池と周囲にはかなり多くの動植物が生息していると思われますが、当然ながら水鳥が多く、そんななか10年以上前から冬季のオオハクチョウ(とのことです)の飛来が観測されるようになり、今では関東最南部の飛来地としてけっこう有名になっています。


私はこの調整池の散歩が好きで年に数回は来ると思いますが、冬のハクチョウ観察はまだ1度か2度しか体験していません。昨年は遅すぎてすでに北に帰ったあと、今年は12月に来たのですが、その時には2羽いるという話は聞いたものの自分の目で直接確認することはできませんでした。ハクチョウは風が強いと池の中にあるいくつかの小島の間に隠れてしまうようです。1月末のこの日は、例の「まち歩きクラブ」のイベントで、この日は寒いことは寒いですがほぼ無風でしたから期待してたのですが、毎年いる南側の小島付近に近づいてもいそうもありません。


しかし今回は複数の眼があります。「向こうに白い点が見えます」との声。確かに、われわれの立っているのと反対側の岸のアシの茂みの前に大きな白点が確認できます。双眼鏡でのぞいていた会員が「泳いでいます。ハクチョウですかね」。双眼鏡を借りてみてみると確かに首をあげて泳ぐ大きな鳥。これはまさしくハクチョウです。望遠機能のついたカメラで撮影している会員がいて、写した画像を拡大してみると黄色いくちばしのハクチョウが2羽、なかよく泳いでいる姿が記録されています。上の写真です。池の他の場所を見渡してみても、どうも今年はこの2羽しか来ていないみたいで、全員(この日は12名)で観測できたことに感謝、大喜びです。この日の見学は2つの富士塚とハクチョウという組み合わせで大変面白いものになったのではないでしょうか。(詳細は埼玉県立歴史と民俗の博物館友の会のブログに掲載)

迷惑メールの問題2023年02月17日 13:51


仕事ばかりでなく個人の趣味やサークルの連絡にも電子メール(以下、Eメールまたはメール)を使うようになりましたが、どなたも困っているのがいわゆる「迷惑メール」です。商品のPRや知りたくもない情報を掲載したメールマガジンなどのEメールが毎日送られてきます。中には、受けとった人を混乱させる「詐欺メール」も含まれていて、かなり巧妙なものについて記事を書いたこともあります。 (「フィッシング詐欺?」< http://mylongwalk.asablo.jp/blog/2022/06/14/9499918>)


そのために通信ソフトの中には「迷惑メール防止機能」を備えたものもあり、けっこう役には立っていると思います。これはわれわれユーザーが設定するわけで普通は通信ソフトの中の特定のフォルダに入りますから(届いていないと思った場合には)そこをチェックすればたいてい見つかります。しかし、私の使っているプロバイダである「ASAHIネット」には、メールサーバー自体の機能として「迷惑メールチェックサービス」があり、当初からこのサービスを使用していたのですが実はそれはすっかり忘れていまして、今回、少しあわてました。


私は、所属する団体である埼玉県立歴史と民俗の博物館友の会のホームページの運営を行っていまして、そのホームページの中に、会の開催する講演会や見学会・クラブ活動などの案内を掲載して「登録フォーム」で申込・受付を行い、申込者本人や担当者にその内容をE メールで送信するという機能を作成しています。この登録フォームでの申込機能は、3~4年くらい前に借りているサーバー上で動作するPHPというスクリプト言語を使って作成し始めたものです。この言語は仕事では使ったことがなかったのですが、ネット上にサンプル類が豊富なので、次第に処理が高度化していきまして現在はかなり使いやすくなっています。


ところが、この機能で、つい最近、 今年1月の中旬まで届いてた私あての連絡メールが突然届かなくなりました。この処理では、メール送信の他にサーバ上のファイルに送信内容を書き込み、それをネット上で表示するという機能もつけていて、そのファイルをみると登録処理は正常に行われているようです。


ちょっと細かくなりますが、申込者本人や担当者へのEメールはPHPの通信機能である「mb_send_mail」というコマンドを使って送り、送信者は<main.jp-junosaitama@lit714.phy.lolipop.jp>というアドレスになります。lolipop.jpというのがサーバー名です。


要するに通常のメールソフトでなく、プログラム上のコマンドから送っているので、この機能だけが使用できなくなったのではないかと疑い、調べてみましたが、バージョンその他変更した覚えはありません。しかも、どうやら他の担当者には正常に届いているようです。


ここで問題が私のEメールにあることがわかったので、ASAHIネットに問い合わせをしてみようとネット上のサポートページに入り、私の加入状況を見ているうちに「かんたんフィルター(自動フィルター)」という」迷惑メール防止サービスが設定されているのに気がつきました。気がついたというのはおかしいですが、このサービスには相当前にプロバイダ契約をしたときから利用しているのでほとんど思い出しもしませんでした。しかし、もしかしたらこの自動フィルターが原因ではないかと思い、このなかにある「拒否/許可からリスト」から許可リストに上記の届かないアドレスを設定して更新、テスト送信してみると受信できました。これが原因だったわけです。


実は昨年にも同じように特定のEメールが届かないという現象があり、困ったのですが、これも同じ原因だった可能性が高いです。しかし、不思議なのは、なんの設定変更もなく、しかも問題のないアドレスが「迷惑メール」に分類されてしまうのかということです。自分が使用しているメールソフトのフィルタなら、先に述べたように専用の「迷惑メールフォルダ」に移動しているだけですからチェックしていればいいわけですが、メールサーバー段階で切り捨てられてしまうと、果たして出さなかったメールなのか、サーバーで止まってしまったメールなのかの区別がつきません(なお、ASAHIネットではWebメールというブラウザから利用できるメールの送受信システムが用意されており、それでみると「迷惑フィルタ」に関係なく受信内容を確認できることがわかりました)。


そこで、あらためて、ASAHIネットに、以下のように穏便なメールを出しました。


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特定の送信者 からの送信Eメールがアサヒネットの迷惑メールフォルダに入っており、メール ソフト(Tthunderbird)で受信できません。以前も届かないメールがあり、連絡 しました(2022/10/07)。その場合のIDは[*****@pref.saitama.lg.jp] でした。どちらも不審なメールではなく、以前は通常に受信できていました。

Webメールで確認し、管理画面の許可リストに追加して、受信できるようになり ましたが、このフィルタはどういう基準で変更・設定されているのでしょうか。 特に変更した覚えがありません。

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これに対する回答はすぐに来ました。


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(略)フィルターはお客様宛に届いたメールの迷惑メール判定を自動で行います。恐れながら、セキュリティ施策上その基準についてはご案内することができません。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

なお、弊社メールサービスの拒否/許可リストにつきましてはご利用者様が手動で設定いただくものとなります。こちらはASAHIネット側では操作変更ができません。
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まぁこんなものでしょうね。迷惑メール判定の詳細については「セキュリティ施策上」明らかにできないのは当然でしょうが、なぜ「急に変わってしまうのか」についての疑問は残ったままです。しかも、きちんとしたアドレスも対象になってしまうのです。また、前回の問い合わせの時には回答の中で「メールサービスの拒否/許可リスト」の件には触れず「該当のメールはサーバに届いています」という説明だけだったので、「迷惑防止フィルタ」まで調べませんでした。聞かれていないことに応える義務はないわけですが、技術サポートとのやり取りというのも結構大変です。


ということで、今回は、このサーバーの迷惑メール防止機能を使わないことで切り抜けるつもりですが、なにかの機会に復活してしまわないかという不安は残ります。


都留アルプスは発電の道2023年02月28日 12:09

上の写真は山梨県都留市にある水力発電用の道路喬で、橋上には10メートルほどの幅の水路で水が勢いよく流れています。明治の終わり、日本の水力発電の黎明期に造られたもので、桂川(相模川)の支流である鹿留川(ししどめがわ)という川に架かっています。


この橋のある山梨県都留市が水力発電で町おこしを狙い市役所構内や小学校に小型の水力発電所「元気くん」を設置していることは知っていましたが、2月の終わりに山遊会で「都留アルプス」と名付けられた市内山間部を縦断するトレイルコースを歩くことになり、あらためて調べてみると、この地が日本の水力発電の歴史を刻むような重要な役割を果たしていることがわかり、街を見下ろす山塊に散在する水路橋や送電線を結ぶような登山道歩きを楽しむことができました。


トレイル開始はJR大月経由で到着した富士急行の都留市駅です。駅を出て左右に延びる道路に立つと西方向真正面に純白の富士山が圧倒的な迫力でそびえています。本当に富士山の裾野のまちという感じです。そこからほんの数分歩くと見えてくるのが斜面を斜めに下っている巨大な円筒状の導水管で、これが谷村発電所です。導水管を通してこの発電所に落ちている水は、今回の登山コースの反対側にある鹿留川方向から一気に山中を貫いて流れてきているのです。登山はここから出発して都留市の中核部分と並走するように北東から南西に向かって横たわる山塊を越えていきますから、コース自体が発電用の導水路の流れとほぼ同じであるのは地形の関係で必然です。さらに発電施設は電力の道でもありますから送電線で結ばれています。この送電ルートも導水管と並んでいるので、随所に巨大な高圧線の鉄塔が立っていて、ちょうどその鉄塔を結ぶような形にもなり、まさに電気の道をたどるコースともなっています。


この豊富な水の流れを運ぶ導水路は元をたどると富士五胡のひとつである山中湖から取水されてここまで来ているのですが、ここで終わりでなく、さらに桂川に並行に流れ続けて最後は上野原方面まで続きます。地図で辿ってみると、この谷村発電所を下った水路は桂川を経由して川茂ダムに溜まり、そこにある川茂発電所で利用されたあと、九鬼山の中腹をトンネルでくぐり抜けていきます。その直前にあるのが赤煉瓦の落合水路橋。明治40年(1907年)の建設で国の重要文化財(近代化遺産)になっていて今や都留市のお宝です。


私はここで、かつて富士急の田野倉駅から九鬼山に登ったとき道路右手にこの優美な橋が見えたことを思い出しました。さらに、水路は続き、桂川(相模川)近くの駒橋発電所につながっています。これも、大月の百蔵山からの帰りに名所の「猿橋」に寄った時に見かけました。川を超えてトンネルの中に吸い込まれていく急流の水路─これが駒橋発電所へ送られる発電用の流れだったのです。思い出がつながりました。この駒橋発電所は現在も使われていますが、日本で最初に長距離送電(山梨から東京まで)が行われた発電所として有名です。こうしたことから都留市は水力発電の町というキャンペーンを行っているようで、都留アルプスはその象徴みたいなところがあります。


山としての「都留アルプス」は最高でも700メートルを超える程度の低山ですから名山が群雄するこの地域では目立ちませんが、市内駅からすぐに登れるハイキングコースとして都留市が登山マップも作成してPRにつとめています。ただし、まだ寒さの残る日だったためか行きあった登山者は多くありません。小さな山塊のアップダウンとその間を結ぶ緩やかな尾根道が続き、眼下には樹林越しにいつも都留市内が見えています。山自体は秩父のようなスギの植林地ではありません。主体はブナ科の木ではないみたいですがヒノキ、クヌギ、ヤマハンノキ、ヤマザクラやホオノキなどの広葉自然林が主体で登山道には落ち葉が積もっていました。アカマツ、スギなどの針葉樹が多い斜面もあり、都留市の木はアカマツだとあとで知りました。今回、季節の関係で下草が目立ちませんでしたが、春秋の花も多いはずです。



電気の道ということでは、特に前半に関連施設が目立ちます。樹林の斜面を横切る送水管やピーヤと呼ばれる巨大な水道橋などはここのシンボルのようです。2時間ほどで尾崎山分岐に到着、ここから斜面を超えていきますが、途中にあるミツマタの群生地はまだ時期が早くて青いつぼみでした。さらに下ったいくと山腹に造られた楽山球場という施設につながる地点を通過します。きれいなバイオトイレもあるのでここで休憩・昼食。町の人がウォーキングに来るような場所で、この山がいかに街に近いかがわかります。


あとの登山の詳細は省略しますが、登山道が終わり、小さな集落に出るとすぐに見える鹿留川の渓谷はなかなかの水量で、小さな淵を造っていて、不幸な女性が身を投げたという伝説の残る「おなん渕」というようです。この淵のすぐ下流にも煉瓦造りの水路喬があり、上は10メートルほどの幅の水路で水がすごい勢いで流れています。この橋もかなり古そうですが文化財にはなっていないようです。水は遠く富士五湖から流れてきたものですから、この地域の水力発電が富士山の湧水によって成り立っていることがわかります。