3度も標高が変わった武甲山2019年05月17日 14:48


秩父にいけば目の前に見える武甲山。秩父神社のご神体でもあります。しかし、現実には戦前から続く石灰岩の採掘で、悪いことに秩父市街から見える北側斜面の山肌が屑られた山という印象になっています。それでも埼玉県の名峰として今でも登山者はたくさんいます。今回はこの武甲山を登り、さらに子持山、大持山をめぐる縦走コースに参加しました。

5月11日(土)午前5時半、7名の参加者が2台の車で朝霞を出発、関越道と皆野寄居有料道路を通って午前7時40分過ぎ、狛犬が4匹のオオカミという武甲山御嶽神社の大鳥居に到着しました。5月の連休期間中はツツジなどの花を楽しみに登山者が多いだろうという情報で、この日(5月11日)に延期したため、途中の渋滞はありませんでしたが、それでも神社内の駐車場はすでにかなりの満車状態でした。タクシーで来る人たちもかなりいます。

8時前に登山開始、まずは武甲山頂上を目指します。秩父から見える武甲山のいわば背中側を登っている感じです。鬱蒼としたスギの木立の中、黙々と進むとすぐに暑くなってきます。皆さん、Tシャツ姿になり真夏の様相ですが、まだまだ風が吹けば心地よい余裕の季節です。これから暑くなるんだなぁ!。

登ること40分ほど、岩の割れ目から流れ落ちる不動の滝の水場到着。ここには頂上のトイレ用の水ボトルが置いてありボランティアで運ぶことを呼びかけています。さらに少し登ると巨大なスギがそびえる休憩ポイントがありました。名前はなく、ただの「大杉広場」のようですので、よい名前はないかと全員で考えましたが、縄文杉に匹敵する妙案はなく、当面は「巨大なスギ」にしておくことに。斜面の中にはときおりサクラなども見えますが、下草はバイケイソウやマムシグサなどの有毒植物以外にはほとんど見当たりません。ここもシカの食害でしょうか。

その後もたんたんと歩き続けて10時過ぎ、いくつかの建物が見えてきて、一気に頂上に到達。途中で先ほどのトイレ用の水を運んできた人(全員ではありません)がマンホールに注ぎ入れます。雨水とこの水とで浄化槽を動かしているようです。

頂上には標高1304メートルの標識がありますが、その横に1336-41+9という謎めいた数式が書いてあります。実は武甲山は、(ウィキペディアの説明では)「もともと1900年(明治33年)の測量では標高は1336メートルを記録されていたのですが、山頂付近も採掘が進められたために三角点が移転させられ、1977年(昭和52年)には標高1295メートルとされた。2002年(平成14年)に改めて三角点周辺を調査したところ、三角点より西へ約25m離れた地点で標高1304mが得られ、国土地理院はこれを武甲山の最高地点と改め、地図上では1295mの三角点と最高地点1304mの両方を表示することとした」というややこしいことになっていまして、この経緯の記録のようです。途中ではまだ1295メートルになっている標識もありました。

展望台からは山の南面に広がる秩父の市街が一望できます。曇り気味の天候でしたが、盆地の西側にはやや蛇行する荒川と中央の秩父大橋、その向こうの丘陵に広がる緑地は公園でしょう。中央付近には羊山公園がありますが、芝桜が終わったためかそれほどはっきりは見えません。いくつかのセメント工場の規模の大きさが実感でき、眼下には採掘された石灰岩の崖がひろがっています。

ここから縦走が始まります。子持山までの1時間半くらいはちょっと疲れました。大きく下ってからシラジクボなどいくつかのピークを通過し、けっこう険しい岩場を越えていきます。この辺から広葉樹の林がでてきます。時期を過ぎたようですが、いくらかツツジの花が残っている場所もあります。眺めのよい場所からは、霞んでいましたが、両神山や甲武信岳などが遠望できました。子持山には12時頃に到着しましたので、日陰を選んで昼食休憩。ここの標高は1273メートルで、振り返ると降りてきた武甲山の後ろ姿がくっきりと見えます。石灰岩採掘で崩れた正面(秩父盆地側)と対照的な穏やかな感じです(上の写真)。

次いで大持山。ここはそれほどのアップダウンがありませんが、それなりの岩場もあり面白いコースです。大持山には13時30分到着。大持山山頂にはこの山で修業をした人の御札がおいてありました。平成の年号ですから、今でもこのコースを廻っている修験者がいるということです。われわれも、ここで終わりでなく、次は妻坂峠まで進みます。ゆるやかな下りもあり、樹林の中の気持ちのいい尾根道です。北側の斜面になるためか、咲き残ったカタクリの花も見られました。途中、木立の向こうに15メートルはあると思われる巨大な岩がありました。あとで合った登山者が「クジラの様な岩」と表現していましたので、あらためて「クジラ岩」と命名しました、

妻坂峠からは、登山前、神社前を流れていた生川を源流から下る感じで谷に沿って一気に降りていきます。谷沿いには色鮮やかなシダなどの植物が茂り、あっという間に出発した武甲山御嶽神社の大鳥居に着いてしまいました。

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