史跡公園のVRスコープ2019年01月06日 18:46


このところ新年には府中の大國魂神社に参拝するようになりました。家族が住んでいるためですが、この神社の参道には中小商店から大型SCまでにぎやかに並んでいます。コンパクトな行動が可能で、かなり住みやすい街のように思えます。

最寄り駅はJR武蔵野線の府中本町駅。駅を降りると、そのすぐとなりにかなり広い敷地があり、そこでは長い間遺跡の発掘調査が行われていましたが2年ほど前からこが史跡公園として整備が行われています。いままで立ち寄る機会がなかったのですが、今年はじめて入ってみました。まずは説明版を読んでみます。ここで発掘されたのは古代武蔵の国府館跡と徳川家康府中御殿の跡で、つまり、異なる時代の複合遺跡だということがわかりました。このことから、ここは国の史跡に認定され、府中市が史跡公園として整備を始めたようです。広場を遠くから見ると、建物跡が出土したと思われるあたりの木製(を模した)の柱だけが数十本さびしい感じで立っているだけのように見えましたが、実際には建物の復元縮小模型が展示されていました。

そして何より驚いたのは見学に来た人が何やら大型眼鏡状の投影機をのぞいていること。その場でぐるりと廻ったりしています(上の写真)。その機器はどうも広場の一郭にある市の施設(ふるさと府中歴史館の分館?)で貸してくれるようです。さっそく申し込んでみました。バーチャルリアリティ(仮想現実)3Dメガネ(以下VRスコープ)とかいうらしいですが、要するに3Dの映像が見られるというものです。これが、ただの映像と違うのは自分の立っている位置に対応してリアルに動く映像であること、しかも360度ですから、自分が回るとVRスコープ内の映像も同じように廻って、あたかもその場所に自分がいるように感じられることです。いくつかのポイントを移動すると、あるところでは建物の庭で数人の貴族が蹴鞠をして遊んでいたり、ある場所では室内では宴会が行われ、女性が和歌を詠みあげたりしています。また、後ろを振り向くと、現在は建物にさえぎられて見えない富士山も遠くに見ることができます。

とはいえ、映像はそこまでクリアではないので臨場感もそこそこのものですが、確かにこれなら多額の費用をかけてジオラマをつくるよりは経費がかからないでしょう。また映像ですからソフトウエァの改良や機器自体の高度化で、体験できる内容は自由にバージョンアップができます。日本の場合、特に古代の史跡や遺跡では現物が残っていないことがほとんどで、あとは見学者のイマジネーションに頼って当時を再現してもらうしかありません。こうしたVRスコープのような機器を利用することは大変面白いことのように思えます。

横浜港で空母型護衛艦を発見2019年01月11日 18:42


環境団体主催の見学会で横浜市磯子区にある磯子火力発電所を見学しました。火力発電は発電方式の主力ですが、中でも石炭火力発電はその歴史が古いばかりでなく、今でも(日本ばかりでなく)世界各国で発電量の40~50%以上の比率を占めている主力電源になっています。最近は地球温暖化の原因である炭酸ガス(CO2)の排出量が多いことでかなり評判が悪いですが、その重要性は依然として変わっていません。

私は、将来の電源が風力や太陽光、地熱などの自然由来エネルギー(再生エネルギー)になることは確かだと思いますが、少なくともそれまでの間、あるいは再生エネルギーのバックアップ電源として、この石炭火力発電は必要な技術だど考えています。その理由は原料となる石炭が世界各地に広く存在し、日本にも相当量が埋蔵されているからです。

ただし、この石炭火力発電を利用するためには、CO2やその他の汚染物質の排出を極力少なくする必要があります。磯子火力発電所はいわばそのモデルとして設計・運用されている工場ということで、どんな施設でどうように運営されいるかをみたいということで、今回の見学になったわけです。

見学の最後にボイラー塔の屋上へいきました。ここは100メートルの高さがあり、側面からはボイラーの熱風が噴き出ていて、この真冬でもあたたかです。横浜港や遠く富士山まで見渡せます。楕円形の煙突がさらに100メートル頭上に見えます。近くにはいくつもの(別の)発電所やガスタンクが林立して、あらためて工業地帯の雰囲気です。ここはすべて埋立地なのですが、東京湾という地形からか津波などの災害は少ないようです。

オマケですが、煙突の向こうに話題になった海上自衛隊の空母型護衛艦の姿がみえました。姿から「いずも型護衛艦」とおもわれます。基本的にはヘリコプター搭載護衛艦 なのですが。今後は垂直離発着型の戦闘機を搭載できる空母機能に改装されるという構想になっています。この近くにはドックもあり、また母港の横須賀も近いですから、頻繁に行き来すると思われます。この近くに住んでいる人にはめずらしくない光景なのでしょう。

高尾山の「シモバシラ」2019年01月19日 13:08


山の会で高尾山(八王子市)へ。今年は小仏城山の少し先、小仏峠から甲州街道旧道を降りて相模湖駅まで歩くというコースになりました。コース自体は平凡ですが、途中で「シモバシラ」を見てみようというのが目玉です。

単に「シモバシラ」というとややこしいのですが、寒い季節に赤土などの地表面にできる「霜柱」という自然現象とは別モノで、シモバシラという植物の枯れた茎が地中の水分を吸い込んでできる花の様な白い氷の塊のことです。大きい場合は10センチくらいにまでなるという真冬の、これも一種の自然現象です。

高尾山頂から裏高尾方面に下ってすぐ、紅葉台の北側斜面が最初の候補地ですが、探してもお目当ての「シモバシラ」らしきものは見当たりません。山の会・K会長の話では、斜面の荒廃と手入れ(下草刈り)のためにシモバシラ(植物)が成長しないのではないかということ。斜面の荒廃には撮影者が入り込んだこともあるようです。次いで、一丁平の先の北側巻き道を探索。形は小さいですがいくつか白く成長した現象を確認することができ、一同はひと安心。

そのあと、一行は城山まで進みましたが、何人かは、もう少し大きなシモバシラの花はないかと探し回りました。K会長が「確かここにもあったはず」というので、城山頂上が見えるあたりで左に回る登山道に進んでいくと、これまでより大きな「シモバシラの花」がいくつかできているのを発見しました(上の写真)。

それでも5センチくらいと思います。これは寒さがまだ中途半端なのか、あるいは土台となる植物自体が大きく育っていないためでしょうか。

池袋の富士山2019年01月20日 13:06


黒い溶岩の重なった荒れ果てた斜面に数本の樹木。これは北アルプスかどこかの高山の風景かとおもいきや、都心の池袋駅から徒歩で30分ほどの豊島区要町にある浅間神社の境内です。いわゆる富士塚ですね。このブログでも過去何回かの記事になり、つい最近も埼玉県志木市にある富士塚を紹介しています。

しかし、この富士塚は大きくしかも岩石の面積が多いです。こんな光景が大都会・池袋のすぐそばにあるのです。現在は南池袋ですが、昔は長崎町ですので「長崎富士」といいます。最大の特徴は江戸末期の文久2年(1863年)に造成され当時の様子がよく残っていることで、このことから国の重要有形民俗文化財に指定されています。

今回はおなじみの博物館友の会の「まち歩き」での訪問ですが、この富士塚、通常はかなり厳重な柵に囲まれていて人が立ち入ることができません。この日は豊島区役所文化財課を通じて保存会の方(本橋さん)に来ていただき、中に入り、希望者は山頂に登ることもできました。本橋さんのお話しではこの地には古くからの塚(古墳?)があったそうで、銅鏡が出たことが契機になって地元の富士講の人たちがこのような見事な富士塚を建設したということです。使われている富士山の溶岩(いわゆる黒ボク)は相当の量ですから、資金や時間もかなりかかったものと思われます。当時の人たの信仰心の強さと心の豊かさがわかります。

那須高原でスノーシュー2019年01月31日 15:23


山の会の新年会で栃木県那須塩原市の“豪華格安ホテル”に行きました。新年会はともかく2日目に体験したスノーシューが新鮮でした。

参加者は10名、午前9時にタクシーに分乗して約15分ほどの大沼園地という場所に向かいました。あとで知ったことですが、この「大沼園地」は日本で第一号に指定された自然研究路(昭和33年)という由緒のあるところだったのです。大小の沼と周辺の森林そしてそれをとりまく日光の山々という絶好の自然観察ポイントが随所にある自然公園のようです。日光国立公園の中で、ここは禁猟区になっています。

ここでスノーシューをつけて歩きながら野生動植物の観察をしてみようというのが目的です。われわれはスノーシューという「スポーツ」をするものだとばかり思っていたので、こんな素晴らしい体験企画だったとは意外でした。

スノーシューとは“西洋かんじき”といわれればわかるように、防水仕様の靴の上から付ける雪上歩行具のことです。通常の靴などより設置面積が広くなりますから雪の上でも潜らない。ただしスキー板ほど広くはないので雪面上を滑っていくようなこともないという、つまり雪の中を歩く靴ということです。

専門のガイドの方に先導いただき、林の中、やや勾配のある段丘を越えて、湿地帯ながら現在は一面の雪原となっている沼(これが大沼)の上を歩きました。標高1000メートルほどの高原ですが沼に接する林はミズナラなどのブナ科の広葉樹が多く、真冬だけに葉が落ち足元は、雪と茶色い枯葉に覆われています。見通しはよく、明るい光であふれています。また、この日は風もなくあたたかいという好天気でしたので快適な雪の中の散歩になりました。

少し歩くと雪の中にいくつものちいさい足跡がありました。ガイドさんが「これはノウサギ」「これはテンだと思います」と教えてくれます。野生動物の多くは夜行性だったり非常に警戒心が強かったりしてほとんど目撃することはできません。足跡だけとはいえ、こうした動物の生態をすることが可能なのはまさに雪のためです。大きな窪みはシカの歩いた跡のようです。この地区にはツキノワグマも生息しているようですが、冬のことですから姿は見られません。秋口にドングリなどを獲るために登ったときの爪跡を教えてもらいました。

この林の中の高い上に丸い鳥の巣状の塊があります。ヤドリギです。これはレンジャクという野鳥が活動していた証拠で、赤く色づいたヤドリギの実を求めてこのきれいな野鳥やってくることもありそうです。約2時間ほどの短い滞在でしたが楽しい時間でした。