とうとうスマホに2017年09月08日 19:56


別に大きな不満があるわけではないのですが、長らく使い続けてきた携帯電話(いわゆるガラケー)をスマートフォンに変更しました。理由のひとつは使用していたCANON製のデジタルカメラがおかしくなったこと。実は、事情があって最新型でないのですが、どうもピント調整機能が不調になりました。代わりのデジタルカメラも考えましたが、以前から携帯電話とカメラを両方持つことに疑問を感じていましたので、この機会に内蔵カメラの品質が飛躍的に向上したスマートフォンに乗り換えてみた次第です。

理由はもうひとつあり、スマートフォンの使用料金は従来の携帯電話より高いと思っていたんですが、最近のSIMの自由化?による格安スマホの台頭で「利用料金はかえって安い」という情報を得たことです。実際のところは数か月たってみないとわかりませんが、店頭での契約では、電話の送信やネットでのデータの転送をそれほどしないのであれば月額で2000円以下の料金(本体費用は除きます)になる予想です。

申し込んだその日のうちに電話の移行は完了し、使用することができました。基本的に電話とEメールのやり取りが主な操作ですから、どう使うかもほぼわかっていましたが、2、3日の試行錯誤をへての感想では、まず使用感としては、思っていたよりも簡便な使い方ができるなという感じです。余計な通信を切り、ほとんどいらないアプリを削除してみると、そううるさくもありません。もともとゲームもLINEもやる気がないのですから当たり前ですかね。LINEが山の連中の情報交換ですが、私はPCでやります(Windows版Chromeのソフト)。

肝心のカメラ機能ですが、予想したとおりよくできていますね。最近はブログ用の画像作成目的がほとんどなので大きなサイスはいりません。4128×3096の最高画質から640×480のまで5種類の撮影サイズが選べますが、とりあえず、2048×1536の画素を選んでいます。実際に作成されるJPGファイルも0.7メガら1.5Mメガ程度の大きさで、まぁ手ごろです。画質も実用上、問題ありません。基本的に自動だけでが、露出の補正はできます。なによりいつもポケットに入れている携帯がカメラというのは気楽です。カメラ専門メーカーであるニコンの不振が伝えられていますが、残念ながら、これは当然という感じですね。

上の写真は、このスマホカメラで撮影したもので、9月6日に行われた自費出版文化賞の最終審査会の審査風景です。詳細はホームページに掲載していますのでご覧ください

 (→http://www.jsjapan.net/jssyonews20.html

『海の都の物語』を再読2017年09月18日 19:09


塩野七生著の『海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年』を再読中です。正続2巻からなるこの本の奥付を見てみると、初版発行は昭和56年(1981)で、私の購入した第13版は昭和62年(1987)です。その年に購入したとするとちょうど30年前ということになりますね。私はまだ30歳代で、忙しかったためにゆっくり読めなかったのでしょうか、<歳をとって時間ができたらもういちど読みかえしたい>と思ったのを覚えています。そういう思いをいだく書物はそう多くはありませんので記憶に残っているのです。

その30年前当時ですが、じつはその少し前に仕事がらみで初めてのヨーロッパ旅行をしていました。ただ、残念ながら歴史知識があまりなく、ただの観光旅行に終わってしまったのを悔やんでこの本に目をとめたという経緯があります。他にギリシャやパリにも行きましたが、思い出に強く残ったのは海に浮かぶ夢の様なヴェネツィアの街並みでした。現在のヴェネツィアは完全な観光地ですから歴史をしらなくても十分に楽しめますが、かつて地中海世界に君臨したこの共和国のことを知りたいという気持ちは生まれました。

『海の都の物語』を読むと、このアドレヤ海の湿地帯にどのようにして国ができ、大運河沿いのあの豪壮な建築群が生まれ、なぜそれが一千年も続いたのかがわかります。栄光のこの都市国家は18世紀には崩壊してしまいますが、これがヨーロッパの歴史なのです。これを知っていいればあの風景の見方も変わります。

著者の塩野七生さんはこのあと膨大な『ローマ人の物語』を書き上げます。そのほか彼女の著作はどれを読んでも興味深いですが、まだ若く精力的だったころに書かれたこの『海の都の物語』は、間違いなく西洋歴史文学の傑作といっていい作品です。地下に無数の松の木の杭を埋め込んだ干潟の中の都市建設、古代の攻城戦、帆船での航海、銀行の創設、共和政体の流転そしてその中の女性たち―書かれるテーマはさまざまですが、どれも本当に楽しんで読めます。読者を楽しませるように書かれているのです。これは重要です。2巻になるこの本の続編のはじめに「読書に」と題する著者の前書きがあり、その中で最後に「面白くてためになる書物が、良書なのです」というホラティウスの言葉が引用されています。

さて、上の写真はつい3年前に2回目のイタリア旅行で立ち寄ったヴェネツィアで、おなじみ運河に架かる石の橋とその下のゴンドラです。旅行にいってからこの本を読んでいるのは1回目と同じことになってしまいました。