磐梯山で爆裂火口をのぞく ― 2017年08月08日 19:11
福島の名峰・磐梯山(1816m)に登りました。地元の山の一行9名で2台の車に分乗して午前5時に朝霞を出発。今回の最初の目的地は健脚向けの「上州武尊(ほたか)」だったのですが、8月初旬という酷暑の時期を考慮して軽めの山への変更となりました。
この日、途中の道では夜が明けてもずっと曇り空が続いていたのですが、郡山ICで磐越自動車道に入り、入口が白鳥の姿にデザインされたいくつかのトンネルを抜けると本当に天候が変わり青空も見えてきました。会津に入ったわけです。
有名山だけあって、広大なブナ林とササ薮の中を抜けていく登山道は広く快適です。30分ほど進むと硫黄の臭いがただよってきました。磐梯山は巨大な火山で、特に1888年(明治20年)の爆発では大規模な山体崩壊で甚大な被害を出し、桧原湖などの湖も形成されています。現在でもいくつかの噴気孔からこうした火山性の有毒ガスが噴出しているのです。開けた場所に出ましたが、中の湯というかつて温泉があった場所のようで、廃墟の様にくずれかけた家屋が残っています。ここは休憩ポイントのようです。
ここからが本格的な登山道です。道幅も狭くなりますが、行きかう人の数が急に増えてきました。早朝から登っていた人にすれ違うわけです。そこそこの急坂ですが、そんな関係で途中で立ち止まることも多く、一気に登っている感じはあまりしません。2時間半くらい過ぎたところで弘法清水小屋に到着しました。弘法清水という、冷たい湧水が一筋流れ落ちていて、この日も蒸し暑く、汗をかきどおしの私はここで顔を洗いました。磐梯山には他にも「黄金清水」などの湧水があるそうですが、冬の降雪の多いためでしょうか。
小屋の周辺はかなり広い広場です。眼下には茶褐色の爆裂火口崖が異様な姿でそびえ、かなたに檜原湖や銅沼の広がる雄大な景色、そのはるか上には早くも秋を思わせる青い空です。赤トンボが無数に飛んでいてひとの腕にもとまります。今日はこの場所も人でいっぱいです。小学生が集合写真を撮ってからにぎやかに下山していきました。12時になったこともあり、ここで昼食。雄大な景観を見ながら休憩できました。
ここから約30分で頂上ですが、食後の登りはけっこう大変です。風はほとんどなく、ここまで標高があがっても暑いことに変わりません。すこし進むと降りてくる子供連れの集団に遭遇。いったい何組の団体がはいっているのでしょうか。最近、登山客がほとんどいない山ばかりだったのでこれは驚き。
ようやく到着した頂上。最高点は岩と石が連なる小山。その下の標識で記念撮影をしましたが、空には雲が広がり始め、猪苗代湖も見えません。赤トンボの乱舞は弘法清水小屋よりもさらに見事です。小休憩後、午後1時半過ぎ、下山開始。弘法清水からはお花畑コースを通ります。火口が近く雄大です。駐車場に着いた時には午後4時を過ぎていまて、朝霞についたのは午後9時半をまわっていました。
キツネノカミソリの花 ― 2017年08月11日 12:08
キツネノカミソリは、夏の終わりに咲く赤い花。もうすこし季節が進むと、これも赤く咲く彼岸花(ヒガンバナ)と同じ仲間ですが、この彼岸花に比べるとオレンジ色といったほうが近いかもしれません。
河川敷や林のなかでふつうにみられるようですが、朝霞にくるまではあまり意識したことがありませんでした。今年もそうですが、近くの新河岸川の河岸段丘にある保護樹林に、暑いこの時期に咲く花ということで、教えてもらいました。
そうすると行田の埼玉古墳群の墳丘にもこの花がたくさん咲いていることに気づいたり、ほかの地域でもこのキツネノカミソリの群生を街の名所にしているのを知ったりということで知識が増えていきます。
花の名前は覚えにくいものですが、この花は、ちょっと奇妙な印象の語感と実際の花の鮮やかさから一度で覚え、忘れにくいところがあります。
槍ヶ岳登山は今年もできず ― 2017年08月28日 11:19
地元の山の会では昨年から「槍ヶ岳登山を計画していました。私は昨年は参加しなかったのですが、計画自体も悪天候(台風)で中止になっていまして、その後1年間は準備期間ということで、いくつかの山に「練習」と称して登って、満を持していました。しかし、今年も天候の関係で2日目で下山という結果になりました。
私は、先発組で前夜「ペンション乗鞍」に泊まり、早朝5時過ぎ、上高地の沢渡のタクシー乗り場へ向かいました。そこに後発組が待っています。天候は曇り。この日は始めから好天を期待していなかったのでいいのですが、かなり強い風も吹いてきました。タクシーに分乗してバスターミナル方面へ。運転手は慣れた手つきで荷物をトランクにいれてくれます。当地の天候を聞くと「今日も明日、明後日もいい天気ですよ」とうれしい返事。ただしこれは完全な社交辞令だったことは翌日に証明されました。
大正池などをまわるわれわれ散策組は途中で車を降り、1時間ほど歩いて河童橋に到着。ここで記念撮影。バスターミナルで全員が集合、出発は7時半過ぎでした。前夜もかなりの雨が降ったらしく道は悪いですが、特に問題もない梓川沿いの平坦な道をもくもくと2時間ほど歩いて徳沢ロッジへ。雨が降り出し、ときおり激しくなったり、やんだりです。傘を差しながらの人が多かったですが、常に川の瀬音が聞こえる快適な歩行です。時折、荷物を運ぶヘリの爆音がとどろきます。1時間くらい歩くと涸沢への分岐道のある横尾山荘です。ここで昼食。この付近から少し山道になり、いくつかの沢を渡ります。本当に水と植物にあふれた別天地です。ニホンザルも生息していますから、かなり豊かな自然度もあるのでしょう。ただし、今回は天候がよくありません。
槍沢ロッヂについてもはっきりしない天候。ここはお風呂がありますが、湯船の中で槍に登ってきたひとの話を聞くと「前日(8/22)も雨でだめ、今日(8/23)も風が強かったがなんとか登った。他にひとはいなかった」ということ。とにかく、食事をして就寝。午前2時頃、目を覚ますと屋根をたたくかなり強い雨音がします。5時頃、ロビーにいって天気情報を見ると「23日は午前雨、24日の午前は雷を伴う風雨」という悲惨きわまる予報です。置いてあるパソコンの天気図をみると大きな雨雲が北陸から長野方面にかかってゆっくり移動しているようです。それでも出発する団体の姿がありましたが、九州からのツアーとのことでとにかく上の小屋まではいくようです。
われわれは朝食後、部屋にあつまって全員集会。上までいって様子を見る、別の山に向かうなどの意見もありましたが、とにかく付近の山は全部悪天候です。「常識的に考えればここは撤退」というT長老の言葉で衆議一決、下山して帰朝(朝霞に帰る)ということになりました。出発前に槍沢ロッヂの前で雨中の記念写真をとりました(下)。
下山もほとんど雨の中でしたが、横尾山荘あたりでなんとか止み、明神池から自然探索路を歩いてまた出発地の河童橋へ戻りました。初心者には上高地と槍ヶ岳の一端を経験させてもらった気がします。参加者一同は来年の「第2次槍ヶ岳登山隊」へ向けて“日本気象協会とタクシー運転手の言葉を信用しない”という心がまえで再出発を誓ったのでした。
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