立川談春の落語をきく2017年01月14日 19:13


品川に立川談春の独演会をききに行きました。家族がファンなので以前にも一度付き合ったことがありまして2回目。ご存知のように立川一門は寄席には出ないのでこのように独演会を行います。当然、音楽会のように事前にチケットを申し込んでおくのですが、談春は現在一番人気のある落語家とのことで券は申し込み1名につき2枚、そして会場に本人がいかないと入れない。一度会場に入ったら出られないという厳重な管理体制になっています。不正転売を防ぐためだそうですが、こうしてなんとかホテルの一室に設営された「寄席」に入場できました。

それでも400名くらいの人数に制限されていますので、以前の公会堂の大ステージよりは聞きやすかったです。談春の弟子という2人の若い女流落語家が前座みたいな芸を披露した後、談春が登場。リラックスした感じで自分の体調や弟子の話、他の芸人の話など思いついたように話すのはいつものことでしょうか。談志の様な「毒」がありませんので客も屈託なく笑っていられます。他の落語家をあまり知りませんが、たぶん既成の寄席の古典落語家とは違うのでしょう。

この日も2つの噺をやりましたが、本題は『居残り佐平次』という廓話の一席。舞台は品川の遊郭ということになっています。金を持たずに大散財するという正体不明の男の立て板に水の口上はさすがにうまいものです。しかし、噺が終わったあと、これは会場がファンだけという安心感からと思いますが、時代が変わってしまって、特に廓噺などをやるのは難しいという意味のことを漏らしていました。この日の『居残り佐平次』でも最後の「裏を返す」という下げの意味がほとんどの人にはわからなくなっています。親切に説明をしてくれたのですがそれでもわからない人はいたようです。

古典落語も時代考証が必要な時代なのかもしれませんが、人情や性愛の問題に属することも多く、公娼制度のことも今や体験者はほとんどいません。そこに十代の女性演者が登場する。こういう芸能はどうなっていくのでしょうか。