武蔵野の鉄塔2016年12月29日 11:48


『鉄塔 武蔵野線』という小説をご存知でしょうか。1994年に発表され、映画にもなりました。この作品のモデルになっているのが実在する東京電力の送電線網で、そのうち、武蔵野線というのは埼玉県南西部の新座変電所から東京都北部の武蔵野変電所あたりまでの鉄塔群のようです。小説はフィクションで、また当時とは鉄塔の位置もちがうようですが、20年以上たっても、この付近は野菜畑や雑木林が広がる武蔵野の原風景を残している地域です。

私は散歩コースのひとつとして志木市を経て新座方面に向かういくつか道を歩きます。そのなかで、この時期(晩秋から真冬)になると、余計な色彩が薄れるためでしょうか、風景のなかでこの送電線と鉄塔が目につきます。

上の写真は北風が強く青空がきれいな日(12/28)に撮影したものです。場所は、新座市、平林寺付近の野火止用水に面した場所で、たぶん、この場所のすぐ左側に新座変電所があり、右の林は用水に面した農家の防風林です。空の青く高いこと、一帯に高い建物もないので鉄塔と送電線の印象が強烈です。

鉄塔も送電線も新潟、東北方面からの電力を東京に供給するための人工の施設にすぎませんが、人間と自然が相互に依存しあって作りだす「景観」の一部になっていることに不思議さを感じます。