山上の小さな社2016年07月24日 16:04


福島県の霊山(りょうぜん)という山にいってきました。知る人ぞ知るという名山のひとつだと思いますが、名前からも想像がつくように古代からの山岳宗教の聖地だったようです。かつては険しい岩山に囲まれたこの山の中に平安時代初期に開かれたという天台宗の拠点があり、数千の僧房があったとされ、また中世の南北朝時代には南朝方の山城があったとも伝えれています。

登ってみると、いたるところに奇岩、奇石が点在していて「天狗の相撲場」とか「猿飛岩」などの観光スポット?とともに「物見岩」や「護摩壇」など、この地の実際の歴史と文化を感じさせる地名が次々に登場します。「親不知・子不知」「蟻の戸渡り」などのスリルのある岩場もありますので、もうすこし首都圏に近ければ登山者も飛躍的に多いと思われます(それでも秋の紅葉時にはかなりにぎわうようです)。

今回は、ここにある岩場登山用の金属製の梯子が北アルプス槍ヶ岳のそれと似ているということで「予行」演習のためにというのが目的でした(私はいきませんが)。標高は850メートルで、この季節ですから、相当暑いだろうと予想していたのですが、なんと半袖では涼しいというくらいの気温で水もあまり必要ではありませんでした。

日本の名山といわれる山の多くは、このように、多くの修験者が開いた信仰の山です。この霊山でもいくつかの遺跡が残されています。<写真>はそのひとつで、橋がなければとうてい渡れないような天然の岩屋の中に祭られている小さな社です。この上奥にももうひとつあります。「大山祇神社跡」との説明がありました。こうした山全体あるいは岩全体を信仰の対象とみる祭祀場は日本全国に無数にあると思いますが、いつ、誰が、どのようにしてこうしたものを祭り始めたものでしょうか。起源はそうとうに古く、神社の始まりとともにあるような気がします。大宮の埼玉県立歴史と民俗の博物館で今年中に「祭祀の起源」という講演が行われる予定になっています。こうした自然崇拝と宗教の関係が語られるでしょうか。